2025年12月7日(日)

令和の京都地図

2025年11月25日

 ニュースやワイドショーが報じる通りの光景が広がっていた。

一部の観光地で発生しているオーバーツーリズム。観光都市・京都は、この荒波を乗り越えることができるか(MASATAKA NAMAZU)

 10月23日午後1時30分。小誌取材班は、清水坂を歩き、清水寺に向かっていた。平日にもかかわらず、多くの観光客で溢れ、外国人の姿が目に付く。人波を縫うように進み、ようやくたどり着いた「清水の舞台」からの眺望はいつもながらに素晴らしかったが、現地の状況は一昔前とは明らかに異なる光景だった。

 こうした状況は昼間だけではない。数々の調査で外国人観光客に人気の観光地ランキングで1位を獲得する伏見稲荷大社も同様である。

 10月28日早朝、JR稲荷駅。午前7時台に到着する列車からは次々と外国人観光客が降車してきた。この日も平日だったが、取材班が目視で確認する限り、ほぼ全てが外国人観光客と言っても過言ではなかった。

 京の台所・錦市場では、昼も夜も多くの観光客で混雑し、市内を走るバスや地下鉄も、観光地に向かう観光客で混雑していた。地元の人々の日常生活への影響は計り知れず、まさに〝観光公害〟の現実を目の当たりにした思いであった。

 だが、取材中、複数の市民から意外な言葉を聞くことになった。

 「メディアは〝観光公害〟と報道してるけど、不適切ではないか」「観光客に思いやりを持って、うまいこと折り合いをつけて生活していく必要がある」─。

 予想外の反応である。なぜ、そう言えるのか。疑問を抱きつつも、京都を取り巻くオーバーツーリズムの現状を探ってみることにした。

 「京都観光総合調査」(京都市)によると、2024年には5606万人の観光客が京都に訪れている。

 その中でも注目すべきは「外国人観光客数の増加」である。15年には482万人だったが、24年には約2.3倍の1088万人に増加している。今後も増加が見込まれるだろう。

 現在の京都において、オーバーツーリズム対策は焦眉の急である。こうした状況を受け、京都市では近年、様々な対策を講じている。24年6月からは土日・祝日限定で京都駅と人気観光地を結ぶ「観光特急バス」の運行を始めた。今秋からは、荷物を持たない手ぶら観光推進のため、京都駅構内のコインロッカーの位置や満空情報の発信を開始するなど、観光客と市民生活の調和を目指した取り組みを行っている。

 観光MICE推進室持続可能な観光推進課長の小野耕作さんは「観光客数が増加する中、特に外国人観光客は平日・休日問わず京都を訪れる傾向があることも踏まえ、観光地や道路の混雑対策、手ぶら観光の推進、観光マナーの啓発など、今後も様々な対策を講じていく」と話す。 


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