また、料理人のお客様から「せっかく良い肉を使っているのだからナツメグは入れなくていい」とのアドバイスがありました。ナツメグ自体は肉の臭いを和らげ、風味を豊かにするために使いますが、この肉であれば入れる必要ないと気づけたのです。
メニューの種類も、お客様から「これを食べたい」との要望に応えているうちに増えていきました。たまたま熊本に帰省した時、質のいい馬肉を譲っていただいたので、馬刺しを食べたいと言うお客様に、お店で提供したところ、「おいしい」と言っていただけました。それを見た周囲のお客様も「食べてみたい」となって、今では定番のメニューになっています。
他にも、「ハンバーグにえびフライをつけてほしい」とか、「オムライスの上にトンカツをのせてカレーソースをかけてほしい」とも。すると今度はそこに「ナポリタンもつけて」となり、メニューのレパートリーが増えていきました。
神戸、長崎とは異なる発達
私は、洋食とは「ご飯」に合う料理として、日本で独自に発達してきた「和食」だと思っています。だから「お米」にもこだわっています。今では、京都の生産者の方に専用のお米をつくっていただいています。
洋食といえば、横浜、神戸、長崎など、日本で最初に外国に開かれた町で発達したというイメージがあると思いますし、実際、そういう部分はあると思います。
京都の洋食はそうではなく、花街に通う旦那衆が芸妓さんと食べにいく場所として発達してきたと言われています。そういう点でも独特です。
これからもこの京都で「洋食」という名の「和食」を追求していきたいですね。
