報道陣の前で握手するウクライナのウメロフ国家安全保障・国防会議書記(右)とルビオ米国務長官(11月30日、米フロリダ州)
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は11月30日、ロシアとウクライナの戦争終結に向けた交渉において、ウクライナとの協議は生産的だったものの、「まだやるべきことがある」と述べた。ウクライナの新しい交渉代表となったルステム・ウメロフ国家安全保障・国防会議書記は、「生産的で成功した」と協議を評価した。
ルビオ長官は、米フロリダ州マイアミの北にあるハランデイル・ビーチで行われた協議において、協議は「戦闘を終わらせる条件だけではない」、「ウクライナを長期的な繁栄に導く条件も対象だ」と述べた。
「今日はそれを基盤にしたと思うが、まだやるべきことがある」と長官は言い、ロシアとの和平協議の目的はウクライナを「主権国家で、独立し、繁栄」した状態にすることだとウクライナ代表団に語った。
ルビオ氏は協議後には、「非常に生産的で有益だった」と述べた。
ウクライナの交渉団を率いるウメロフ国家安全保障・国防会議書記は、協議の冒頭で「我々はウクライナの未来、ウクライナの安全、ウクライナへの侵略の再発防止、ウクライナの繁栄、そしてウクライナを再建する方法について議論している」と述べた。
ウメロフ氏は英語で「アメリカは、我々の言い分を聞きとっている。アメリカは我々を支援している。アメリカは我々と共に働いている」と強調した。協議後には、「生産的で成功した」と評価した。
ウメロフ氏の前任の交渉代表だったアンドリー・イェルマーク前大統領府長官は、ウクライナ当局による汚職捜査の一環で自宅を家宅捜索されたのを受け、11月28日に辞任した。
協議では、ロシアが併合もしくは支配しているウクライナ領の扱いが、未解決の重要案件の一つとなっている。
ウクライナ代表団に近いとされる消息筋はAFP通信に対して、フロリダでの協議は「楽ではなかった」と話した。
「それでも、誰もが建設的に解決策を見つけようとしている」とも、情報筋は述べた。
この日の会合には、ドナルド・トランプ米大統領の特使スティーヴ・ウィトコフ氏のほか、トランプの義理の息子ジャレッド・クシュナー氏も同席した。ウィトコフ特使は近く、モスクワを訪問する予定。
一連の外交は、アメリカがまとめていた28項目の和平案が流出し、大いにロシア寄りと見られる内容だったことを発端にしたもの。ウクライナと欧州の同盟諸国がその内容に驚き、修正案を示してきた。
トランプ大統領は30日に大統領専用機の中で記者団に対し、協議は「順調に進んでいる」として、紛争を終わらせる合意が成立する可能性は高いと話した。
トランプ氏はこれまでに、ウィトコフ特使と、場合によっては義理の息子のクシュナー氏も今週中にモスクワへ派遣し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談し、大幅に修正された和平案について協議すると述べていた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はソーシャルメディア「X」への投稿で、「協議が建設的に動き、すべての問題がウクライナの主権と国家利益を確保することに明確に焦点を当てて、オープンな形で議論されたことが重要だ」と書いた。
大統領はさらに、「アメリカと、トランプ大統領のチーム、そして大統領自身が、戦争終結のための手順を明確にするため、これほどの時間を徹底的に使ってくれていることに感謝している」とも書いた。
ゼレンスキー氏は12月1日、ウクライナを強力に支えるフランスのエマニュエル・マクロン大統領と協議するため、パリを訪れる予定。
ロシアが2022年2月24日にウクライナ全面侵攻を開始。以来、甚大な人数が死傷し、国連によると今年11月の時点でウクライナから580万人以上が国外へ逃れている。
ロシアとウクライナは共に、旧ソ連の一部だった。両国の現在の紛争は2014年にさかのぼる。2014年2月から3月にかけて、ウクライナの親ロシア派大統領が失脚し、ロシアがクリミア半島を併合したほか、ロシアは同年春からウクライナ東部の反政府勢力武を支援した。
(英語記事 Ukraine talks 'productive' but more work needed, Rubio says)
