2025年12月5日(金)

BBC News

2025年12月5日

米連邦最高裁判所は4日、テキサス州が連邦下院選で新たな選挙区割りを使用することを認めた。この区割りは、2026年の中間選挙で共和党が多数派を維持する取り組みを後押しする可能性がある。

テキサス州では8月、州議会が新たな区割りを可決し、グレッグ・アボット知事が署名した。しかし、連邦地裁がこの区割りの使用を認めなかったため、同州はこの判断を差し止めるために緊急の申し立てを行っていた。

最高裁は、「この訴訟の予備的評価において」、テキサス州が緊急救済の条件を満たしたとした一方、下級裁判所が「少なくとも2件の重大な誤りを犯した」と判断した。判決は、6対3の構成で出されたとみられる。

リベラル派の判事3人は、この判決に反対意見を出している。

判決には、「連邦地裁は、進行中の予備選挙に不適切に介入し、多くの混乱を引き起こし、選挙における連邦と州の繊細なバランスを乱した」記されている。

テキサス州の下級裁判所は11月、新しい選挙区が「人種を基に分けられている」ことを示す証拠ががあるとして、同州に対し、変更前の区割りを使うよう命じた。

アメリカでは、特定の政党に有利になるよう選挙区を引き直す「ゲリマンダー」は、人種に基づく場合のみ違法とされている。

テキサス州での区割り変更をめぐっては、異議を唱える民主党の州議会議員らが一時的に州を離れ、採決を遅らせようとする騒ぎもあった。一連の騒動は、他州でも同様の動きを引き起こす一因となった。

民主党が支配するカリフォルニア州は、テキサス州での共和党の得点を相殺するために新しい区割りを提案し、11月の特別選挙で

承認した。米司法省は、この区割り計画をめぐって同州を提訴している。

このほか、インディアナ州やユタ州、ノースカロライナ州などでも、政治的な綱引きが行われている。

来年の中間選挙に向けた動き

4日の連邦最高裁の判断は、ドナルド・トランプ大統領にとって勝利を意味する。テキサス州の新しい選挙区割りは、中間選挙で僅差の多数派を維持しようとしている共和党に最大5議席を追加する可能性がある。トランプ大統領は先に、最高裁に対し、テキサス州に有利な判断を下すよう求める意見書を提出していた。

しかし、4日の判断に対する長文の反対意見で、リベラル派のエレナ・ケーガン判事は、「地方裁判所が、人種に基づいて新しい選挙区に割り当てられたと認定した数百万のテキサス州民に不利益を与える」と述べた。

これに対して保守派の判事3人は、簡潔な同意意見で、テキサス州の共和党が人種に基づいて選挙区を引き直したという見方を退けた。

サミュエル・アリート判事は、ニール・ゴーサッチ判事、クラレンス・トーマス判事と共に、テキサス州と、その後のカリフォルニア州での、新しい地図の引き直しの動機が、「純粋かつ単純な党派的利益であることは疑いようがない」と書いた。

テキサス州のアボット知事は、今回の司法での勝利を祝福。新たな区割りを認めた最高裁を称賛し、「我々は勝った! テキサスは公式に、そして合法的に、いっそう赤くなった」と述べた。赤は共和党の色とされている。

アボット氏はまた、「この連邦議会向けの新選挙区は、首都ワシントンで我々を代表する顔ぶれを、この州の価値観に今まで以上に適合させるものだ。これはテキサス州の有権者、常識、そしてアメリカ合衆国憲法にとっての勝利だ」と語った。

一方、州議会で民主党を率いるジーン・ウー議員は、連邦最高裁がテキサス州の有権者とアメリカの民主主義を裏切ったと非難した。

「これが投票権法の終わりの姿だ。裁判所は、証拠が目の前にあるにもかかわらず、少数派コミュニティーを守らない」と、ウー議員は述べた。

(英語記事 US Supreme Court allows Texas to use redrawn voting maps in midterms

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cvg1w69w901o


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