インドネシア各地が甚大な洪水被害に遭った(6日、アチェ・タミアン県カラン・バル)
BBCインドネシア語編集部
11月末にインドネシアを襲った洪水の死者数が、7日時点で900人を超えた。また、数百人が依然として行方不明となっている。
マラッカ海峡で発生した、この地域は極めて珍しいサイクロン(熱帯低気圧)「セニャール」が、東南アジアの一部に豪雨と土砂崩れをもたらした。
インドネシアでは、10万戸以上の住宅が破壊された。孤立が続く地域では、人々に到達するための活動が続いており、空から支援物資を投下する必要がある場所もある。
ここ数週間でアジアを襲った複数の異常気象では、スリランカ、タイ、マレーシア、ヴェトナムでの累計死者数が2000人近くに上っている。
アチェ州のアチェ・タミアン県は、インドネシアで最も被害が大きい地域の一つ。同県の生存者は、村が急流で完全に押し流されたと語った。
リンタン・バワ村の生存者は、BBCインドネシア語サービスに対し、住宅の屋根に座って生き延びたと述べた。
フィトリアナ氏は、「4歳の子どもと一緒に、自宅の屋根で3日間、食べ物も水もなく生き延びた人もいた」と語った。
同氏によると、村の住宅の約90%が破壊され、300世帯が行き場を失ったという。
男性は、洪水が自宅の2階まで浸水した際、家族と共にボートで避難したが、その後再び、近くの村から逃げなければならなかったと振り返った。
男性は、「その夜、私たちが寝ていると、水が突然マットレスを濡らした。でも高い場所がなかったため、どこにも行けなかった」と語った。
「義理の娘の家は幸い2階建てだった。そこで2階に上がったから生き延びられた」
AFP通信によると、アチェ・タミアン県の知事は、対応チームが「腰までの深さ」の泥の中で遺体を捜索し続けていると語った。
また、「多くの人が日用品を必要としている。アチェの遠隔地では手つかずの地域が多く残っている」と述べた。
「人々は洪水ではなく、飢えで死んでいる。それが実態だ」
このほか、インドネシアのメディアは、洪水が刑務所を飲み込む恐れがあったため、受刑者らが解放されたと報じた。当局は、受刑者たちを移送する先がなかったのだと説明している。
また、北スマトラ州のシボルガ市と中央タパヌリ県への陸路は7日時点で依然として途絶しており、それぞれ空路と海路でしか支援が届かない状況だという。
さらに一部の地域では、スーパーマーケットで略奪が発生したとの報告も出ている。
(英語記事 Death toll from devastating Indonesia floods passes 900)
