米下院の民主党議員たちが12日に新たに公開したエプスティーン元被告関連の写真には、トランプ米大統領など複数の著名人が写っていた
アメリカ連邦議会下院監視委員会の民主党議員らは12日、性犯罪で有罪とされたジェフリー・エプスティーン元被告(故人)に関連する写真を相次ぎ公表した。元被告が私有していた島の邸宅で過ごす様子や、後にアメリカ大統領となるドナルド・トランプ氏などさまざまな著名人と一緒に写った写真が含まれている。
下院監視委員会の民主党議員たちは12日午前にまず写真19枚を公開した後、さらに80枚近くを公表した。エプスティーン元被告の遺産管理団体に委員会が召喚状を送付して受け取った9万5000枚以上の画像の一部だという。
トランプ大統領は同日、新しく公開された写真について記者団に質問されると、エプスティーン元被告には知り合いが大勢いて、その多くが一緒に写真を撮られたのだと答え、「大したことじゃない」と述べた。
監視委の民主党議員たちは12日、「透明性の観点から、エプスティーン遺産管理団体が提出した写真を引き続き公開する」と述べた。議員たちは今月3日にも、同様に画像を公開している。
監視委の民主党筆頭委員、ロバート・ガルシア議員は声明で「ホワイトハウスによる隠蔽(いんぺい)を終わらせ、ジェフリー・エプスティーンとその友人だった権力者たちから被害を受けた人たちに、正義をもたらす時だ」と述べた。
「一連の不穏な写真は、エプスティーンと世界有数の権力者たちとの関係について、さらに多くの疑問を投げかけるものだ。我々はアメリカ国民が真実を知るまで休まない。司法省はすべてのファイルを今すぐ公開しなければならない」と、議員は付け加えた。
委員会で多数派を占める共和党は、民主党が「写真を自分たちに都合よく選別し、標的を絞り一部を黒塗りにすることで、トランプ大統領をめぐる虚偽の物語を作り出している」と非難した。
ホワイトハウスは、この公開を「トランプ大統領に対する民主党のでっち上げ」で、「繰り返し論破されてきた」ものだと述べた。
新たに公開された画像についての状況説明はなく、撮影時期や場所、撮影者は不明だ。エプスティーン関連資料に写っているだけでは、不正行為を示すものではない。
金曜午前に公開された写真に写る複数の著名人は、写真についてコメントしていない。写っている人の多くは以前から、エプスティーン元被告との関連での不正行為を否定している。
連邦議会は11月、司法省にエプスティーン元被告関連の捜査資料を文書を公開するよう命じる法案を可決。自分の支持基盤から再三の圧力を受けたトランプ氏は、法案を11月19日に署名・成立させている。法律は、司法省に対し、元被告に関する捜査で得たすべての情報を30日以内に「検索とダウンロードが可能な形式で」公開するよう命じるもので、その期限の12月19日が近づいている。
下院監視委が公開している資料は、司法省の持つ捜査資料とは別で、議会は独自にエプスティーン元被告について調査し、遺産管理団体から文書や画像を求めている。
今回新たに公表された画像には、浴槽にいる元被告や、性的玩具と思われるものが写ったものもある。
ビル・クリントン元米大統領や大富豪ビル・ゲイツ氏などと一緒に写った写真もある。
トランプ氏に似せて彫られ、ブロンドのかつらをかぶったオレンジ色のカボチャの写真もあり、その上には「トランプキン。ハロウィンを再び偉大に」と書かれている。
今回公開された写真のうち、トランプ氏は3枚に写っていた。1枚は顔が黒塗りされた女性の隣に立つ姿、もう1枚は1997年のニューヨークで下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」のパーティーで、モデルのイングリッド・セインハーヴ氏と話すエプスティーン元被告の隣に立つ姿で、この画像はすでに公開されていた。
3枚目の写真は、複数の女性に囲まれながら笑顔で写るトランプ氏の写真で、女性たちの顔は黒塗りされている。
トランプ氏の似顔絵と「I'm HUUUUGE!(僕はでっっっっかいんだ!)」と書かれた赤い四角いパッケージが積まれ、その後ろに「トランプ・コンドーム $4.50」と書かれたサインが置かれた写真もあった。
エプスティーン元被告は2008年、未成年者に対する売春の勧誘で有罪とされ、性犯罪者として登録された。2019年7月に未成年の性的人身取引の罪で起訴され、その翌月、裁判を待つ間にニューヨークの拘置所内で死亡した。
トランプ氏は1990年代から2000年代初頭にかけてエプスティーン元被告と友達同士だったが、元被告への捜査においてトランプ氏が不正行為を問われたことはない。トランプ氏によると、2人は2000年代にエプスティーン元被告が初めて逮捕される2年前に絶縁したという。
ホワイトハウスは、2人が決裂した原因は元被告の行動が原因で、フロリダ州のトランプ氏のリゾートから元被告を「気持ち悪い奴だ」と追い出したのだとうかがわせる説明をしている。
公開された画像の中には、イギリス王室のアンドリュー・マウントバッテン・ウィンザー氏がビル・ゲイツ氏の横で写っている写真もあった。
これはもとの写真の一部の様子で、写真代理店ゲッティイメージズで入手可能な完全版では、アンドリュー氏の隣には当時イギリス皇太子だった兄のチャールズ国王が写っている。
ゲッティのキャプションによると、この写真は2018年4月にロンドンで開かれた英連邦首脳会議で撮影されたもの。
トランプ大統領の元顧問スティーヴ・バノン氏も、一部の画像に写っていた。彼は机を挟んでエプスティーン元被告と話す姿や、鏡の前で彼の隣に立つ姿が写っていた。
バノン氏が、映画監督ウディ・アレン氏と話している様子の写真もあった。
クリントン元大統領が写る写真で元大統領は、エプスティーン元被告とギレイン・マクスウェル受刑者(元被告の共犯として2022年に禁錮20年を言い渡され、服役中)と並んで立っている。この写真には、BBCがまだ特定していない別の2人も写っている。
クリントン氏は、この写真にサインしているように見える。
クリントン氏はエプスティーン元被告をめぐる不正行為の関与を、一貫して否定している。広報担当は2019年、元被告が有罪を認めた「恐ろしい犯罪について(元大統領は)何も知らない」と述べている。
このほか、新たに公開された写真には、ラリー・サマーズ元米財務長官、著名弁護士のアラン・ダーショウィッツ氏、起業家リチャード・ブランソン氏らが含まれる。公開された写真でこの人たちが常に、元被告と一緒に写っているわけではない。
(英語記事 New photos from Epstein estate show Trump, Andrew and Woody Allen)
