2025年12月14日(日)

BBC News

2025年12月13日

イランの人権活動家ナルゲス・モハンマディ氏(1月23日、イラン・テヘランの自宅アパートで撮影)

イランの人権活動家で、2023年にノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディ氏(53)が12日、イラン東部の街マシュハドで、イランの治安部隊に「暴力的に拘束」された。モハンマディ氏の財団が発表した。

ナルゲス財団によると、モハンマディ氏は複数の活動家と共にマシュハドで拘束された。

ノーベル委員会は、「ナルゲス・モハンマディ氏に対する、今日の残虐な拘束を深く懸念している」と表明。イラン当局に対し、「モハンマディ氏の所在を直ちに明らかにし、同氏の安全と尊厳を確保し、無条件で釈放」するよう求めた。イラン当局はこの件についてコメントしていないとみられる。

モハンマディ氏は、イランにおける女性の抑制と闘う活動と、人権の促進を評価され、2023年にノーベル平和賞を受賞した。

当時、イランの首都テヘランにある悪名高いエヴィン刑務所で10年の禁錮刑に服していたため、授賞式にはイラン国外へ亡命している子供たちが代理で出席し、メダルと証書を受け取った。

エヴィン刑務所には2021年から収監されていた。昨年12月には医療上の理由から、3週間の一時釈放が認められた。

その後すぐに刑務所に戻る予定だったが、今回拘束されるまで仮釈放の状態が続いていたとみられる。

報道によると、モハンマディ氏は、先週死亡したホスロウ・アリコルディ弁護士の追悼式に出席した際に拘束された。アリコルディ氏は自分の事務所で死亡しているのが見つかった。

ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)」は、アリコルディ弁護士が死亡した状況には「不審な点がある」として、死因究明のための独立調査の実施を求めていた。

追悼式ではほかに数人の活動家が拘束された。これらの活動家は、「独裁者に死を」、「イラン万歳」などといったスローガンを叫んだと報じられている。

モハンマディ氏の夫で活動家のタギ・ラフマニ氏は、「(当局は)ナルゲスを暴力的に拘束した。(アリコルディ)弁護士の兄弟が、追悼式での逮捕の様子を目撃した」と、BBCペルシャ語に語った。

「これは人道法に反した行為で、ある種の報復に等しい」、「(拘束は)今日(12日)、マシュハドで起きた。最近、体制側の弾圧が激化しているので、この事態を懸念している」と、ラフマニ氏は述べた。

イランは6月、イスラエルとの停戦で合意した。以来、イラン当局が弾圧を強化していると、モハンマディ氏は最近非難していた。

モハンマディ氏は先週、米誌タイムへの寄稿で、イラン国家は個人の生活や公共生活のあらゆる側面を支配していると述べていた。

「市民の平和は監視、検閲、恣意的な拘束、拷問、そして絶え間ない暴力の脅威によって乱されている」と、モハンマディ氏は書いた。

また、ノーベル委員会に対しては、「政権の工作員」から間接的なルートや弁護士を通じて警告されているとも訴えていた。

ノーベル委員会は声明で、 「モハンマディ氏に対する脅迫は、同氏がイラン国内でのあらゆる公的活動や、民主主義・人権・表現の自由を支援する国際的な活動やメディア出演をやめない限り、同氏の安全は脅かされるという、明確なメッセージを伝えるものだ」とした。

モハンマディ氏はこの1年間、女性に義務付けられたスカーフの着用を拒否し、国内各地で活動家たちと会合を重ねるなど、抵抗を続けてきた。

財団によると、同氏の拘束は13回におよぶ。計36年以上の禁錮刑と、154回のむち打ち刑が言い渡されている。

(英語記事 Nobel laureate Narges Mohammadi arrested in Iran, supporters say

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cly334q766zo


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