アル・アフメド氏は、銃撃犯と格闘してライフル銃を奪った
オーストラリア最大都市シドニーの観光名所ボンダイビーチで14日午後6時40分(日本時間同4時40分)ごろにあった銃撃事件で、襲撃犯とみられる一人に通行人の男性がとびかかり、格闘の末に銃を奪う様子が撮影されていた。「英雄」と称賛されているこの通行人は、アフメド・アル・アフメド氏(43)だと明らかになった。地元警察によると、この事件では15日までに10歳の少女を含む15人が死亡し、42人が負傷した。
BBCが確認した映像では、アル・アフメド氏が銃撃犯とみられる人物に向かって走り、ライフル銃を奪い取り、銃を構えて相手に向け、後退させる様子が映っていた。
2人の子供がいるアル・アフメド氏は果物店の店主。腕と手を撃たれて手術を受けた後、現在も入院中だと家族が現地メディアに話した。
アフメド氏のいとこのスタファ氏は、14日の夜遅くに現地メディア7Newsオーストラリアに対し、「彼は英雄だ、100%英雄だ。腕に1発、手に1発撃たれている」と話した。ムスタファ氏はさらに15日早朝、アフメド氏に昨晩面会したと明らかにし、「大丈夫そうだったが、医者の判断を待っている」と述べた。
この事件は、ユダヤ教の祝祭「ハヌカ」を祝う行事に、1000人以上が参加している最中に起きた。警察は、ユダヤ人コミュニティーを標的にしたテロ事件と断定している。
警察によると、事件の容疑者2人は父親と息子で、年齢は50歳と24歳。父親は現場で死亡し、息子は重体で入院中だという。
アル・アフメド氏が容疑者から銃を奪う様子の映像は、オンラインで広く共有されている。映像では、容疑者の一人が小さな歩道橋の近くで、ヤシの木の後ろに立ち、銃を構えて画面外の標的に向けて発砲する様子が映っている。
アル・アフメド氏は映像で、駐車中の車の後ろに隠れていたが、容疑者に飛びかかり、格闘の末に銃を奪いとる。銃を構え、容疑者を地面に押し倒し、銃を相手に向ける。容疑者は歩道橋の方向へ下がり始める。
アル・アフメド氏はその後、銃を下げて片手を上げ、警察に自分が銃撃犯ではないことを示しているように見える。
同じ容疑者はその後、橋の上で別の銃を拾い、再び発砲する様子が映っている。別の容疑者も橋から発砲を続けている。2人が誰を、あるいは何を狙っているのかは不明だ。
14日深夜の記者会見で、ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相は、当時名前が公表されていなかったアル・アフメド氏の勇気をたたえた。
「あの男性は本物の英雄だ。彼の勇気のおかげで今夜生きている人が大勢いることは間違いない」とミンズ氏は述べた。
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は「他人を助けるために危険に立ち向かった複数のオーストラリア人をきょう目にした。あの人たちは英雄で、その勇気が命を救った」と述べた。
米ホワイトハウスのクリスマスレセプションではドナルド・トランプ大統領もアル・アフメド氏を称賛し、「とても尊敬」していると述べた。「銃撃犯の一人に正面から立ち向かい、多くの命を救ったのは、本当にとても勇敢な人だ」と、トランプ氏は述べた。
(英語記事 'Hero' who wrestled gun from Bondi shooter named as Ahmed al Ahmed)
