2026年2月5日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月5日

 ここで問題となるのは米国の未来だ。中国は強靭な経済エコシステムを計画的に築き、今や重要鉱物の処理を支配し、バッテリーや電気自動車の大規模生産体制を確立し、輸出市場も多様化させ、制裁や関税に耐え得るようになっている。こうした中国に対し、米国が採れる対応策は、米国独自の経済エコシステムの構築だ。

 米国には広範な同盟国・友好国ネットワークがあり、これらの国は世界の最先端技術、資本、熟練労働者、消費者の需要を支配している。理論上はこれらの国が結集すれば、重要物資は友好国から調達し、製造はパートナー国間で分担し、オープンで予測可能な市場を確保できる。

 ところが現実には米国は同盟国を取引可能な顧客のように扱い、関税を武器に長年のコミットメントを脅迫に変え、他国にリスク回避を促してしまった。最も驚きなのは、米国がもはや世界のトレンドを決める国ではなくなり、世界が貿易や協力の拡大を探る中、米国は保護主義とナショナリズムの中に閉じこもろうとしていることだ。

 この数十年、世界秩序は米国のプラットフォームの上に築かれてきたが、今や世界が秩序を築くのは米国のプラットフォームの上ではなく、その周囲なのだ。

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日本の参考にすべき世界の動き

 このザカリアの論説は、トランプ2期目の米国が世界をどう変えているかを描写しているが、大きな図柄としては大体あたっていると思われる。米国はもはや頼りにならないとの感覚が欧州などで広がっている状況は否定のしようがない段階に来て居ると考えられる。その状況に欧州その他がどう対応しているかを概観した論説であるが、わが国の今後の対応を考える際にも参考になる。

 まず欧州であるが、最近EUは南米のメルスコールとの間で包括的パートナーシップと暫定貿易協定を締結した。この結果、人口規模で世界最大規模の自由貿易地帯ができることになった。これは米国の保護貿易主義への対抗措置である。

 欧州はまたシンガポール、インドネシア、ベトナムとの貿易協定を締結し、東南アジアとの貿易を増やす努力をし、それなりの成果を上げている。


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