さらに大学が一般的に4年であるのに対し、UTIは早ければ1年程度で社会に出るのに十分な技能と知識を身につけることができる。早く社会に出て収入を得ることで、その後の生涯所得や人生設計の幅も広がる。大学を卒業し、多額の学生ローンを抱えながら社会に出て、思うような仕事に就けないリスクを考えると、より多くの高校卒業者にとって魅力的な進学先になる(編集部注・全米学生ローンの残高は、約1兆8000億ドル〈約280兆円〉に上る)。
転職希望者もしかりで、近年はホワイトカラーから技能職への転職を考える人が増えつつある。またUTIでは退役軍人が民間で働くための橋渡しとなるプログラムも持っており、軍の基地内にも実習設備を持つ全米で唯一の学校となっている。
よく、「コミュニティーカレッジ(公立の2年制大学で、職業訓練のカリキュラムも持つ)との違いとは何か」と質問されるが、コミュニティーカレッジが一般的な知識の授業にとどまるのに対し、UTIではきめ細やかなキャリアプランや実践的な学習、就職サポートなどを行っている。
船舶関連ではヤマハなどの日本企業もパートナーとして実際のエンジンなどを提供してくれている。HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning=暖房・換気・空調)の修理、保守、設置ではダイキンも重要なパートナーだ。政府や軍ともつながりがあるため、より実践的かつ効率的な訓練を提供することができる。
機械化が進んでも
メンテナンスは人間
アマゾンが物流部門で大量解雇を行ったことで、「ロボティクスとオートメーションによりブルーカラーの仕事がなくなるのでは?」という懸念もあるが、その機械をメンテナンスし管理するのは人間だ。UTIではそうしたロボティクスとオートメーションの導入に必要な人材を育てるカリキュラムもあり、企業が求める人材とのキャリアマッチを常に行っている。AIのカリキュラムもあり、これから求められるAIと技能を組み合わせた人材育成も行っている。
一つ付け加えたいこととして、最近は女性が技能職に進出する割合が急速に増えているという点だ。これまで工場などの現場での技能職は男性中心だったが、例えば溶接技術や自動車技術を学ぶ女子学生が増えている。
溶接は造船や工場など幅広い職場で今後も需要がある職業であり、オートメーションが進む中でも、人の手が必要とされる分野だ。
UTIでは全米の高校を回ってリクルートを行っており、技能を身につけることの重要性についての理解が広がりつつある。ホワイトカラーからブルーカラー職に転職して給与アップしたというケースも多く、AIやロボティクスによって奪われない仕事への注目は今後も高まるだろう。

