2025年12月13日(土)

商いのレッスン

2025年12月2日

◆今日のお悩み
人手が足りず、残業時間も制限され、これまでの“長く働けばなんとかなる”やり方が通用しなくなっています。作業は遅れ、品質は不安定になり、スタッフも疲れています。この状況で、どうすれば事業を維持し、成果を守り続けられるのでしょうか。
(tupungato/gettyimages)

 午前4時30分。開店前の薄明かりの店内で、数名のスタッフが淡々と作業を進めている。品出しや棚替え、清掃、レジ点検や機器のメンテナンス──どれもが迷いなく、短時間で売場が立ち上がっていく。

 初めて見れば「優秀なスタッフがそろっている」と感じるだろう。しかし、ここはごく普通のセブン‐イレブンの一店舗である。

 かつてコンビニは「深夜に人を多く入れて作業する」働き方が当たり前だった。だが人口減少と人手不足、そして働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が重なり、長時間労働頼みの運営は制度的にも現実的にも維持できなくなった。

 いま国会では働く時間のあり方そのものを揺るがす議論が進んでいる。2019年導入の「月45時間・年360時間」の枠組み見直しに加え、政府は中小企業の人手不足を背景に“働きたい改革”として規制緩和を検討する。一方、野党は過労死を懸念し慎重姿勢を崩さず、審議は対立の中にある。

 こうした議論の只中で、2026年通常国会では、「勤務間インターバル制度(原則11時間)の義務化」「勤務時間外の連絡を断つ『つながらない権利』の法制化」「一人親方・フリーランスの“労働者性”の再定義」など、働く時間の線引きそのものを変える議案が提出される見通しだ。

 つまり、「どう働くか」だけでなく、「どこまで働かせてよいか」までが変わり得る時代に入ったということだ。企業は制度改正を待つのではなく、時間に依存しない構造への転換を急ぐ必要がある。


新着記事

»もっと見る