従業員の労働時間は長い方がいいのか？セブン‐イレブンに学ぶ“価値を生む構造”のつくり方

　国会では「つながらない権利」の法制化が進み、勤務時間外の連絡が制限される可能性もある。つまり、働く時間の外側はますます“働けない時間”になる。だからこそ企業は、勤務時間の中で“価値を生む仕事”をどれだけ増やせるかが、これまで以上に重要になる。

時間ではなく仕組みと創意で勝つ時代へ

　国会の議論は、労働時間規制の強化と緩和のあいだで揺れている。しかし、制度がどちらへ動こうとも変わらない真実がある。時間に依存する経営は揺らぎ、仕組みに依存する経営は揺らがないという一点である。

　セブン‐イレブンの取り組みは、構造が整えば疲弊が減り、創意が高まり、短時間でも成果を生み出せることを示している。ムダを減らし、判断を標準化し、価値創造に時間を振り向ける──。これはどの制度のもとでも通用する“普遍の経営原則”である。

　もし自社に改善の余地があるなら、それは弱点ではなく伸びしろだ。未来は、特別な企業のものではなく、仕組みづくりと現場の創意の積み重ねの中に芽吹く。

　時間に縛られず、仕組みで勝ち、創意で魅力を育てる企業へ――その道を選ぶことこそ、激動の労働環境をしなやかに乗り越える、もっとも確かな一歩となるだろう。