寄稿文では中国を名指しはしていませんが、首脳会談後の記者会見で、オバマ大統領は、中国が世界の大国として台頭するにつれ、基本的な国際法や国際規範の強化と遵守に協力することが重要である、と述べています。オバマが中国にメッセージを送っているのは明らかです。
首脳会談の後、首脳が連名でメディアに寄稿するのは異例のことで、アジア・太平洋における米豪の協力の重要性を世界にアピールする、オバマ大統領とアボット首相の意図が、強く表れています。
寄稿文では触れていませんが、首脳会談では、米豪は、ダーウィンにおける米海兵隊の駐留に加えて、海洋能力の向上や人道支援・災害救助などで防衛協力を強化するための兵力配備取極めに合意しました。米豪の防衛協力強化は、米国のアジアへの軸足移動の肉付けの一つであり、評価されるべきです。
豪州にとって中国が重要な経済パートナーであるにもかかわらず、東アジアの海域における中国の行動をけん制したことは、豪州がアジア・太平洋地域の安定と安全保障にとって不可欠な一員であることを改めて示しています。それは、今や、日本の安全保障政策にとって、豪州が欠かせない存在となっているということです。
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