2024年11月22日(金)

メディアから読むロシア

2014年7月25日

進出すすめる中国への懸念も

 ただ、こうした「形を変えた侵略」の主体が、記事中で触れたような西側諸国ばかりとは限らない。近年、ロシアが懸念しているのは、北極進出を進める中国である。

 中国は2011年、北極沿岸諸国で構成する北極評議会にオブザーバー参加したのに続き、2012年には北極探査船「雪龍」による北極横断航行(しかも帰路はロシアの砕氷船によるエスコート無しでの単独航行)、2013年には初の商業航行と矢継ぎ早に北極進出を進めている。また、2013年にはウラジオストクでの中露合同演習に参加した中国艦隊が宗谷海峡を通過し、オホーツク海(北方航路への出入り口であり、ロシア太平洋艦隊のSSBNパトロール海域でもある)を横断したことにロシアは強い脅威認識を抱いたとされる。

 対中国にせよ対NATOにせよ、ロシアが北極での大規模戦争を本気で想定しているとは当面、考えにくい。しかし、ここで述べたような一種の陰謀論的なロジックに基づいて、ロシアが北極の軍事化を加速させていることもたしかである。今後、北極が「開かれた海」となるのか、「対立の海」になるのか。現在はその分かれ道であると言えよう。

【関連記事】
・「障壁」から「近道へ」 北極の地政学的変化
・北極に軍事基地復活 中国をけん制するロシア
・北極で濃さ増す中国の影

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。


新着記事

»もっと見る