2026年6月12日(金)

トランプ2.0

2026年6月12日

見極めるトランプの“本気度”

 習近平国家主席は、2013年3月就任以来、過去にはオバマ、トランプ(1期目)、バイデン各大統領との首脳会談に臨んできた。しかし、今回のように、中国の軍事侵攻による台湾有事に関連して米国の防衛姿勢を直接ただすことは、これまで報じられた限り1度もなかった。もし逆にそうしたとすれば、首脳会談演出のための友好ムードを一気にかき消すことになったに違いない。

 だが、今回だけは違った。慎重居士で知られる習近平氏の問いかけは、十分計算し、その価値があると判断した上でのことだった。

 中国共産党指導部はトランプ氏について、大統領1期目の4年間、そして2期目就任以来の言動で露見してきた破天荒な政治スタイル、「政治イデオロギーより実利優先」の思考パターン、強者に対するコンプレックス、定見のないご都合主義など、すでに十分“学習”してきたことは間違いない。

 そこには当然、トランプ氏が特に最近、台湾に防衛コストの負担を呼び掛け、世界最大の台湾半導体受託製造企業「台湾積体電路製造(TSMC)」を目の敵にし、米国への半導体・エネルギー投資を強要するなど、台湾批判を繰り返してきたことも含まれていたはずだ。

 もちろん、中国側は今回の首脳会談に際し、トランプ氏がこれまで歴代米政権がとってきた台湾防衛の外交スタンス「戦略的あいまい性」を理解していることを十分承知していた。そして実際に、トランプ氏は習近平氏に「その問いには答えない」と応じた。

 それでもあえて、習近平氏がこの核心に触れる問いを投げかけたのは、トランプ氏の返答ぶりを試す意図があったと推測できる。つまり、問いかけに即座に、そしてきっぱりと「答えない」と返したのか、それとも、予想もしない質問を受け、一瞬でもたじろぎ、うろたえた答え方をしたかでは、意味合いは異なる。

 結果的に、そのどちらだったかは知る由もないが、中国側からみて、トランプ大統領の台湾防衛に対する“本気度”を知る上で、有益な参考材料となったとみることができよう。

見え隠れするトランプ政権の立場

 さらにこの点に関連して注目されるのは、首脳会談終了直後、「Fox News」との単独インタビューでのトランプ氏の発言内容だ。トランプ氏は、とくに台湾問題について、断片的に以下のように語っている:

 「自分は台湾独立を望んでいない。第一、われわれは4500キロも離れた所で戦争をしなければならなくなる。そんなことは望んでいない。台湾側にも、中国側にも冷静になってほしい。私は台湾への武器供与をまだ承認してない。承認するかもしれないし、しないかもしれない」

 「昨秋、韓国で習近平国家主席と会談した際は、台湾問題は議題に上らなかった。今回、彼の方から話を持ち出したが、従来からの米国の(“曖昧戦略に沿った”)台湾政策に変化はなかった。台湾の人民は自分の今回の訪中をニュートラルに見るべきだ」

 このうち、最後の「ニュートラル」という表現は、米国大統領として、中国にも台湾にもくみしない、中立的立場を述べたものであり、過去歴代米大統領と明らかに異なる姿勢を示したものと受け取られる。


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