「CNBC」テレビは関連報道で、「トランプ氏は、台湾有事の米国防衛にある種の否定的姿勢を示した」との解説まで流している。
また、トランプ氏は「Fox News」記者に対し、「台湾への軍事援助は多数の兵器類を意味しており、正直言って、(中国側との協議の際の)わが方にとっての非常に良い取引材料になる」とも述べた。
しかし、この点に関しても、「TIME」誌電子版が「中国による台湾進攻が迫ってきた場合、米側が中国側との経済的取引次第で台湾への関与の度合いを軟化させる可能性を示唆した」として問題提起しており、波紋を広げている。
“弱み”につけ込む習近平
次に、なぜ習近平氏は、(1期目でなく)2期目のトランプ氏との首脳会談であえて、台湾防衛の意思確認に及んだのか。
その答えが、内外に難題を抱え込んだ大統領の苦悩ぶりと関係していることは誰の目にも明らかだろう。
特に今年2月末、対イラン戦争に踏み切って以来、いまだに終結に向けた明確な見通しが立たないばかりか、11月に中間選挙を控え、ガソリンなど生活物価の上昇で支持率低迷が続いていることは、トランプ氏にとってかつてない深刻な事態だ。
そして、局面打開の突破口と位置付けたのが、先月の米中首脳会談だった。会談は、米側の提案を中国側が受け入れる形で実現した。
そもそも、両国首脳の相互訪問について言えば、前回は17年11月、トランプ氏が北京を訪問しているため、本来なら外交慣例上、それ以来初となる今回は習近平氏が訪米するのが自然だった。ところが、トランプ氏があえて前回に続き、再度訪中に踏み切ったこと自体、いかに焦りがあったかの証左とみることができる。
実際、今回の訪中に、航空機メーカー「ボーイング」、世界を席巻する半導体企業「エヌビディア」など、米国を代表する各分野の経済界首脳からなる大型使節団を同行させ、対中売り込みを図ったのも、主眼は、国内向けアピールにあった。
これに対し、中国側は米国産大豆、ボーイング製航空機200機購入などを約束したものの、米側が期待したほどの手厚い”お土産“にはならなかった。
外交面でも、トランプ氏は首脳会談終了後の説明で「素晴らしい関係を築いた」「今後、米中関係はかつてないほど良好になる」と成果を誇った。だが、実体は、習近平氏が会談の中で何度も台湾問題を持ち出したことに示される通り、中国側のペースで終始話が進む一方、イラン情勢の打開でも双方の思惑の違いが露呈したままに終わるなど、米側からみて失望に近いものだったようだ。
