2026年7月8日(水)

エネルギー依存国家・日本

2026年7月8日

 もっとも、こう言えば「太陽光パネルもEV電池も結局は中国の重要鉱物依存で、依存先が中東の石油から中国の鉱物に移るだけだ」との反論が聞こえてきそうである。

 だが、依存の〝質〟が違う。化石燃料は、燃やせば消え、買い続けねばならない「フロー」の依存である。対して太陽光パネルや蓄電池は、一度据えれば20年以上国内でエネルギーを生む「ストック」であり、設備の一回限りの輸入にすぎない。

 また、調達先は分散でき、リサイクルも利き、据え付けや運用の付加価値は国内に残る。永久に続く燃料の輸入と一度きりの設備の輸入では、安全保障上の意味がまるで違う。ウランに触れたのも同じ理由だ。原子力は電源を脱炭素化してもなお、燃料を買い続けるという点で、本質は化石燃料と地続きの「フロー」の依存である。

 見落とされがちだが、欧州の脱炭素も中国の再エネ・EVも、根底にあるのは「気候変動対策」だけではない。輸入する化石燃料への依存を少しでも断つという「エネルギー安全保障上」の要請だ。ところが日本では脱炭素を環境負担と捉える意識が強すぎ、本質を見失ってきた。必要なのは脱炭素を止めることではなく、「エネルギー自立のための脱炭素」への読み替えではないか。

交わらないエネ庁内の
「エネルギー安全保障」論

 なぜ抜け落ちるのか。一つは、世論にそれを許さない空気があることだ。メガソーラーによる自然破壊、洋上風力の相次ぐ撤退、ホンダやソニーのEV見直し──。

 脱炭素をめぐる話題には近年、負の印象が染みついた。実際、過去3回の国政選挙では、気候変動を強く訴える政党ほど議席を減らし、再エネ賦課金に反対する政党ほど伸ばす傾向がある(相関であり因果ではないが)。再エネやEVを推進しにくい政治状況だ。

 しかし、世論だけが理由ではない。

※こちらの記事の全文は「Wedge」2026年7月号に掲載されている「エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ」で見ることができます。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。
Wedge 2026年7月号より
エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ
エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ

ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、世界のエネルギー情勢に激震が走った。日本はこれまで気候変動対策や脱炭素をより重視する姿勢を貫いてきた。しかし、従来の「前提」を根底から見直す局面に立たされている。また、各地で原発の再稼働が進みつつあるが、「核燃料サイクル」実現を進めていくうえで、課題は山積している。だが、思考停止に陥ってしまえばこの現状を打破することはできない。今こそ、日本は「ひよわな花」であることを自覚し、持たざる「弱み」を「力」に変えていく時だ。

 


新着記事

»もっと見る