2026年7月15日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月15日

 脆弱な和平プロセスから離脱するという最新のトランプ大統領の威嚇は、暫定合意がイスラエルとヒズボラの紛争を含む未解決の争点に対してなお脆弱であることを強く思い起こさせるものだった。6月24日にガリバフ国会議長は、暫定合意を「米国の敗北宣言」と呼んだが、この勝利宣言は、国内の強硬派からの批判をかわすことを狙っているように見えた。

 米国とイランの当局者は、損傷した核施設への国際査察官の訪問再開をイランが認めることに同意したかどうかを含め、他の問題についても鋭く対立しているが、「それはイラン側がした約束であり、彼らが守る必要のある約束だ」とルビオ氏は述べた。

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危険を含むレバノンの衝突

 この記事が指摘する通り今回の暫定合意は、レバノン、ホルムズ海峡、核問題について脆弱なことに間違い無い。

 まず、ペルシャ湾岸のアラブ産油国は、長年、イランの覇権主義、イスラム過激主義等の脅威に対して米国の安全保障の傘に依存して来たが、今回の戦争で米国の安全保障の傘がかえって自国の安全を脅かすことを思い知らされた。これらの諸国は、石油・ガスの収入で豊かな生活を享受してきたが、その根底には海水淡水化施設、発電所等への過度の依存があり、イランからの攻撃に極めて脆弱なことが判明した。

 戦中、米国はGCC諸国が米国の安全保障の傘が役に立たないことへの高まる不満を軽視していたように思われる。その結果、GCC諸国側の米国への安全保障上の依存を見直す動きが始まっており――サウジアラビアは、イランと域内アラブ諸国との不可侵条約の締結を検討しているというFT紙の報道がある――米国がどうするのかは大きな問題だ。

 イスラエルとレバノンの間で枠組み合意が結ばれたと報道され、ヒズボラが武装解除することを条件にイスラエル軍は南部レバノンから撤退する由だが、脆弱なレバノン軍にヒズボラの武装解除ができるとは思えないので、これはイスラエル軍が南部レバノンを占領し続ける口実にしかならない。さらに、上記の記事でルビオ国務長官は、イスラエルは自衛しているだけだと弁護しているが、この発言は、米国は本質的にイスラエルを動かせないということを象徴している。


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