2026年7月15日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年7月15日

 他方、イランもヒズボラは、子分ではなくイデオロギーを共にする同志なのでこれも命令することはできず、そして、ヒズボラは、イスラエルの南部レバノン占領(1982年~2000年)に対する抵抗運動から始まっているのでイスラエルが南部レバノンを占領し続ける限りイスラエルを攻撃しなければ組織の成り立ちの根本に関わる問題となる。

 従って、レバノンの衝突が収まるとは思えず、しかも、暫定合意にレバノンを停戦の対象に含めてしまったのでレバノンの衝突が暫定合意本体を壊す可能性が高い。しかも、レバノンとホルムズ海峡は関係の無い問題にも関わらず、イランがこの二つの問題を強引にリンクしてしまい、レバノンの衝突の激化をホルムズ海峡の安全航行を脅かす口実にしてしまった。

テーブルの下では蹴り合い

 そして、ホルムズ海峡は、上記の記事では徐々に正常化しているように書かれているが、6月26日、イランが指示に従わずにホルムズ海峡を通過しようとした貨物船をドローンで攻撃し、米軍が報復としてイラン側の軍事施設を破壊。さらに、イラン側が米軍の行為を暫定合意違反として米軍関連施設を攻撃したと報じられている。

 双方とも暫定合意が破綻したとは言わないが、事実上、低強度紛争が再開している。合意前との違いは、米国とイランの間で協議が始まったことだが、テーブルの下では蹴り合いしながら、テーブルの上で協議が進むとは思えない。

 核問題でも、交渉の前提となる事実関係の確認に必要な国際原子力機関(IAEA)の査察を巡って米国とイランの主張が真っ向から対立している。とても60日間で交渉がまとまるとは思えない。

 イランがトランプ大統領に圧力を掛けるほとんど唯一の手段であるホルムズ海峡を簡単に手放すことはないだろう。しかし、最近のイランの行動は自信過剰となり、トランプ大統領は際限なく譲歩すると信じているように見える。

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