2026年7月16日(木)

WEDGE REPORT

2026年7月16日

ガザ住民によるハマス指導部への冷淡な分析

 事実、ハマスという存在を最も間近で見てきたガザの民衆からは、この「政治劇」を巡って冷ややかな声が聞こえてくる。3人の子供と妻と共に今も避難生活を続けるガザの男性は、今回の発表に市民が期待を寄せているわけではない、と悲観的だ。

「今回の発表は単なる“策略”に過ぎないと感じます。ハマスは『いつでも統治権を委譲する用意がある』という姿勢を示すことで、イスラエル側の陣地にボールを投げ返そうとしているのです。今やボールはNCAGにガザへの立ち入りを許可するかどうかという、イスラエル側の陣地に渡りました。しかし当然ながら、イスラエルはこの提案を完全に拒絶するでしょうし、委員会自体もまた、武装解除や治安という難題が解決される前には引き継ぎを拒むはずです。ガザ市民は結局のところ、全く同じ振り出しに戻らされるだけなのです」

 つまり、イスラエルで予定されている選挙までは、ネタニヤフ首相側も大がかりな動きを起こすつもりはない。ハマス側もそれを織り込み済みで、このタイミングでポーズを取ったに過ぎないのではないか――こうした冷めた見方が、ガザ市民の間ではどんよりとした諦めの境地と共に広がっていると言うのだ。

「私たちが切に願うのは、これが現在の交渉戦におけるハマス側の新たな“政治的駆け引き”ではないことです。ハマス指導者たちが『私たちは義務を果たした。ほら、約束通り政府を解散したではないか。さあ、どうぞガザの重荷を背負ってください』というような――当然、誰もその重責を背負おうとはしないのです。その結果、私たち市民が置かれているこの過酷な状況がずっと据え置かれ続けるのです」。

 こうした思いを抱くガザ市民は少なくない。

 今回のハマス側の発表に対して、「形式的なパフォーマンスに過ぎない」「単なる“引き延ばし戦略”であることくらい、私たちは百も承知だ」など、武装解除について明確な決断を避けつつ「解散」をアピールするのは、ハマス側の狡猾な責任回避であるとの声はSNS上にも溢れている。事実、ハマスのスポークスマンであるハゼム・カセム氏がフランスAFP通信に対し、権力の放棄はイスラエルによる「占領のいかなる口実をも取り除く」ことを意図したものであると語っていることからも、ハマス側のスタンスが透けて見える。

 一方で、ハマスが武装解除を受け入れないことを盾に依然として攻撃を続けるイスラエル側に対するガザ市民の激しい怒りは、言うまでもない。ガザで起きている全てに絶望せざるを得ない現実がそこにある。


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