国際安定化部隊(ISF)派遣の遅滞と終わりなき惨劇
復興に向けて治安維持を支えるはずの「国際安定化部隊」も計画から大幅に遅れ、事実上の停滞状態にある。当初、トランプ政権は2万人規模の部隊派遣を想定していたが、中東全体の不安定化により、初期要員を展開することにすら苦慮している。特に主要な貢献国と目されていたインドネシアが参加協議を一時凍結したことなどが大きな打撃となっている。
この「治安の空白」は、イスラエルによる軍事占領の継続を正当化する口実となっている。イスラエル軍は現在、ガザ地区の60%以上を包囲・支配下に置いており、停戦発効後も新たに8つの軍事拠点を建設したとされる。イスラエルは復興開始の絶対条件として、ライフル一丁に至るまでの「完全な武装解除」を要求し続けているが、ハマス側は軍の完全撤退が先決であるとしてこれを拒否するという平行線が続く。
さらに、ハマスからの権限移譲先とされるNCAGのアリ・シャース委員長らメンバーは、イスラエルによる入域阻止により、未だにカイロでの待機を余儀なくされている。イスラエルの撤退とハマスの武装解除という核心的な問題を棚上げにしたまま宣言された今回の発表は、ガザの再建に向けた大きな進展というより、むしろ責任の不在と新たな膠着状態の固定化を招く危険性を孕んでいるようにも見える。政治的思惑が交差する狭間で、終わりの見えない惨劇の中に、ガザ市民らが閉じ込められたままとなる事態は何としてでも避けねばならない。
