世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月18日

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 こういう軍事的な措置に加え、海洋紛争の管理の道筋を作る外交努力をするべきである。特に中国が「南シナ海での行動規範」作成に消極的なら、代わりの危機管理メカニズムを追求しなければならない。国際仲裁の効果をどう改善するか、また中国海洋石油公社のような海洋秩序変更に加担している国営企業に、経済的な圧力を加える方策を探求すべきである。

 こういうことが不必要であればいいが、アジアでの緊張は高まっており、米国と国際社会は、その平和と安定のために措置をとらざるを得ない、と論じています。

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 この論説は、中国を国際秩序に取り込む政策が中国の穏健化や現在の規範・秩序尊重に至るという、期待された成果を挙げていないとして、その転換、見直しを主張しています。気づくのがいささか遅い気もしますが、適切な主張であることに変わりはありません。

 特に、中国の領土的現状を変える主張には、断固として厳しく対応していくべきでしょう。南シナ海での「9点線」のような主張は全く認められないこと、それに基づく領土主張は拡張主義であること、これには必要に応じて対抗することを鮮明にすべきです。中国の拡張主義への生ぬるい対応は将来に禍根を残します。「食欲は食事の途中で増進する」と言われる通り、中国の拡張主義は早い段階で阻止する必要があります。国際規範は、中国がそれを守るようにこちらが誘導すべきものではなく、中国がそれを守るべきものです。

 台頭する中国にどう向き合うかは難しい問題ですが、国際法に基づかない一方的な領土主張、紛争を平和的にではなく力で解決しようとする姿勢にどう対応するかは、それほど難しい問題ではありません。明確に反対すべきです。米中戦略経済対話が良い機会でしたが、「米国は領有権については特定の立場を取らないが、一方的な行動は認めない」との、従来の建前論を繰り返しただけで、十分だったとは言えません。

 中国のRIMPAC参加について、米国は取り込み政策の如く言いますが、中国はその実力が認められた成果だと報じています。認識のギャップが米中間にあります。中国は、RIMPACに情報収集船を派遣し、情報収集活動を行うという背信行為を行い、問題となりました。取り込み政策として役に立たなかったことは明らかです。

 なお、尖閣について、米国が領有権については中立の立場を取るというのは、理解しがたいことです。カイロ宣言で、日本が中国から窃取した地域とされた、例えば、台湾などは中国に返すことになっていますが、米国は、尖閣がカイロ宣言の対象ではないから、沖縄とともに施政していたのです。これは、幅広く知られるべき、歴史的事実です。

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