2026年8月4日(火)

革新するASEAN

2026年8月4日

日本・欧米・中露がASEAN支援を活発化

 中東紛争を契機に、日本をはじめ、EUや米国、中国やロシアなど域外国・地域によるエネルギー・脱炭素分野での支援・協力が活発化している。

 日本政府は4月、エネルギー強靱化に関するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)+オンライン首脳会合で「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(Partnership on Wide Energy and Resources Resilience Asia: POWERR Asia)」を公表した(第2表)。同枠組みのもと、危機時の原油・石油調達やサプライチェーン維持(緊急対応)と、原油備蓄制度構築・備蓄タンク建設など(構造的対応)に約100億ドルの金融支援等を行う。また、「AZEC」も経済・エネルギー強靭化の視点を加えた「AZEC 2.0」として進化させる。

 EUは、APGや越境電力取引、電力市場統合などへの支援拡大し、米国も、日米メコン電力パートナーシップ(JAPAN–U.S. Mekong Power Partnership: JUMPP) や米国際開発金融公社(DFC)を通じた地域の電力・LNG市場やエネルギーインフラへの技術・資金支援を表明した。このほか、中国は、地域電力網やクリーンエネルギー分野などでの協力を強化、ロシアも、石油・ガス、LNG、再エネ、民生原子力分野などでの協力を進めている。

日本に期待される役割

 中東紛争を機に、ASEANでは、各国が個別に備える時代から、域内で相互補完・共同対応を目指す「エネルギー集団安全保障」へと変化しつつある。ASEANは日本企業にとって重要な生産・調達拠点であり、原油・石油製品の供給制約は、ナフサなどを原料とする石油化学製品の不足を通じて、サプライチェーン全体に波及する。

 日本には、EUや米国とも連携しながら、中東産油国、ASEAN、日本を結ぶ地域のエネルギー安全保障体制の構築を主導し、ASEANの成長と脱炭素化、アジア全体のサプライチェーン強靱化につなげていくことが期待される。

※本稿は、当研究所HP掲載国際通貨研レポート「中東紛争を機に転機を迎えるASEANのエネルギー協力~エネルギー集団安全保障の構築と日本の役割~」(https://www.iima.or.jp/docs/newsletter/2026/nl2026.41.pdf)の一部を抜粋したもの。
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