2026年8月19日(水)

プーチンのロシア

2026年8月19日

手薄なアジアとの関係

 他方で、アジアに関しては、安全保障対話、例えば、シャングリラ・ダイアローグにウクライナが積極的に参加していないことを率直に反省した。大統領からは、個別の国に関して以下の発言があった。

 まず、中国がロシアのみを支援することをウクライナとして望まないのであれば、どんなに難しくても、中国と対話し、中国との協力関係を構築するための実際的な方法を見つけなければならないと言明した。この関連では、別途、中国がシビハ外相に訪中を招請したと報じられており、今後の和平との関係で、中国の動きが注目される。

 次に、インドがウクライナ戦争に関して中立を標榜しながらも、ロシアから石油を購入し続けていることに言及した上で、インドからウクライナへの具体的な支援の取り付け、さらには、和平へのインドの関与に向けて努力するよう指示した。

 韓国に関しては、北朝鮮がロシアに弾道ミサイルを供与していること、また、新たに3万~5万人の兵士をロシアに追加派兵する可能性があることを強調した上で、ウクライナと韓国は安全保障分野で緊密に協力すべきであり、特に、ウクライナに不足している防空システムの分野で韓国から協力を取り付けるよう指示した。

ウクライナの対日期待

 前述したように、大統領の発言と指示は、具体的であり、特に、アジアに関しては、明らかに外交の刷新を求めていることが伺われる。この文脈において、日本に関する大統領の発言、特に、「期待」と「具体的な提案」とは、何を意味しているのであろうか。

 まず、改めて申し上げたいのは、ロシアによる全面的侵略の開始直後から、日本が「今日のウクライナは、明日の東アジアかもしれない」という認識に立って、ウクライナ支援と対露制裁を強力に実施していることに、ゼレンスキー大統領をはじめウクライナ政府関係者は、心底感謝し、高く評価している。筆者は、駐ウクライナ大使時代も現在もウクライナ政府関係者から日本に対する不満を聞いたことはない。

 その上で、ウクライナとしては、北朝鮮がロシアに弾道ミサイルを供与し、追加派兵を準備していること、北朝鮮がドローンを含む最新の実戦経験を学び、ロシアから軍事技術を入手していることに関して、日本とこれまで以上に情報を共有し、脅威認識を擦り合わせた上で、防衛分野でさらに協力すべきであるし、それが可能であると考えていることは容易に推測できる。そして、ウクライナ側からドローン技術や防空システムに関して、具体的提案ができれば、日本政府は応える能力と意欲があることを期待していると筆者は見ている。

 このようなウクライナの期待に対して、日本としても、米国に加えて、G7、北大西洋条約機構(NATO)、EU、欧州の主要国や韓国と、積極的に情報交換と政策調整を行い、ウクライナの首脳や閣僚レベルと活発な訪問外交を行う必要があると考える。

 ロシアの全面的な侵略が5年目の夏を迎えた今、ウクライナと同じく日本にも主体的で積極的な外交が求められている。

空爆と制裁▶Amazon
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る