2026年9月2日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月2日

 令和8年度防衛白書において、ロシアは安全保障上の「強い懸念」とされ、「脅威」とはされていない。実際、わが国の防衛白書で、ロシア(ソ連)は冷戦時代の一時期に「潜在的脅威」とされた以外、一度も「脅威」と位置付けられたことはない。これは、ロシアが相手に譲歩を迫る際の典型的なやり方だ。

中国の対日政策と平仄を合わせる

 ロシアが何らかの譲歩を迫る時は、相手を非難し、強硬姿勢に出る。これはロシアによるウクライナへの対応に如実に表れている。これに対しこちらが譲歩の姿勢を示せば、ロシアは「弱さの表れ」と見て一層強硬策に出てくる。日本の対応はこのようなロシアの行動パターンを十分に踏まえたものでなければならない。

 プーチンによる対日圧力の強化は、中国の対日政策と平仄を合わせることも意識されているが、それは中露の軍事協力の深化という面にも色濃く反映されている。今回の太平洋艦隊の演習は、①7月初旬に黄海で実施された中露両国海軍の「海上連合」演習、②演習初日(7月6日)に行われた中国による初の潜水艦発射弾道ミサイル (SLBM) 試射、③中露両国艦艇により行われた実任務としての共同海上パトロール、といった一連の動きとの関連で見る必要がある。

 7月6日の中国によるSLBM試射は、大陸間弾道‌ミサイル(ICBM)、戦略爆撃機と併せ、「核の三本柱」をすでに有していることを示した。以上の中露間の動きの延長に、8月のロシア太平洋艦隊の演習がある。

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