2026年9月24日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月24日

対応力を上げる欧州

 一方で、欧州側の対応もレベルアップしてきている。直近では8月24日、フランスに続き英国も、英仏共同生産のストームシャドウ/SCALP空中発射巡航ミサイルのライセンス生産をウクライナに承認した。

 実際にウクライナ自身による生産が可能となるまで1年以上は必要とみられているが、これが実現すれば、ウクライナ国境から最大200~300キロメートル(km)程度ロシア領に入り込んだ地点の軍事施設、弾道ミサイル発射装置などに対する精密攻撃が可能となる。

 またドイツのラインメタル社は、自社CEOの暗殺計画という事態に直面して、26年に入り、ウクライナ国内での装甲車生産や修理工場の稼働を加速させている。

 迎撃ミサイルについても、ウクライナのFire Point社が中心となり、欧州連合(EU)各国の大手防衛企業が参加してFREYJA(フレイヤ)と称するシステムを開発中で、これには非EUのノルウェーも90億ドル規模の技術支援を行っている。ノルウェー自身の防衛のための迎撃ミサイル開発をも見込んだものだ。

 また財政面では、本年4月、欧州理事会が総額900億ユーロの対ウクライナ融資枠組みに合意し、さらに7月のNATO首脳会議では過去最大の700億ユーロの軍事支援パッケージがコミットされた。戦争を一日も早く終結させるべきは当然であるが、計算上は、これらの財政支援により、ウクライナはあと2年は戦えると見積もられている。

 ウクライナ戦争が収束しないまま4年半が過ぎた今日、ロシアとウクライナ双方の領土内へのドローンやミサイル攻撃は一層激しさを増し、これとも関連して、ウクライナを支援する欧州NATO諸国に対するロシアの「シャドー・ウォー」が益々顕著になり、これに対し欧州側も対応のレベルを上げつつある。目下ロシアはウクライナ戦争で手一杯であるが、「シャドー・ウォー」が実質的な軍事行動に転化するリスクは常に存在する。

 情報機関としてのラトクリフCIA長官の動きが、今回の「警告」にとどまらず、さらなる米国の政治・軍事的動きに繋がることが強く期待される。

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