これまでのトランプの手法は、輝かしい目標を提示して衝撃を与えるとともに過激なレトリックで脅かすことにより実現を図るスペクタクルとしての劇場的効果を狙ったもので、実現するための詳細な計画や長期的な戦略を伴うものとはいえない場合が多かった。このような手法にトランプの支持者を含めて内外の疑問や批判が高まっており、トランプや共和党への支持率の低下としても表れている。
そのような状況であれば、より堅実な外交政策に転換するのが普通の政治家であるが、トランプの場合は、失敗を認めて軌道修正を図るということはない。むしろ、より派手な行動に出て注目を集め、支持者を刺激し状況を逆転させようとする特異な政治スタイルである。
それゆえ、失敗は事態を鎮静化するのではなく、より大胆な行動に駆り立てるインセンティブとなる。よって、世界は益々強烈な「衝撃と畏怖」のトランプ外交に備えなければならない、という結論となる。
強引な実現を図る可能性
ウクライナについては、単なる停戦だけではなく、ウクライナの領土割譲と安全保障、欧州とロシアの和解によるロシアの燃料輸出の保証、ウクライナの復興支援等を含むパッケージかもしれない。あるいは、イランに対して非核化とホルムズ海峡の自由航行との引き換えに、制裁の緩和と経済支援のパッケージかさえもなければ大規模攻撃かもしれない。
さらには、北朝鮮には核能力の制限や管理との引き換えの経済支援の提案かもしれない。しかし、燃料価格の引き下げに結び付く政策が引き続き当面の優先的課題と位置付けられるであろう。
これらの提案は実現性が乏しいとしても、トランプにとっては、それは問題ではなく、当面注目を浴び、期待感を高めればよいのだ。中間選挙で共和党が後退し、任期が2年後に切れるレームダック状態で、支持率はさらに下がり世界も益々トランプを相手にしなくなるのではないかと思われるが、トランプはそれで大人しくなることはなく、むしろ逆にレガシー造りのために大統領権限を逸脱してでも強引に実現を図ろうとする可能性が懸念される。
