新大阪駅ではストップウォッチで
乗り換え時間の測定も
阿川:新幹線に試乗した時に驚いたことの一つは、カラフルな座席です。
須田:あのデザインを考えた人の話では、一等車(現在のグリーン車)は金、二等車(現在の普通車)は銀をイメージしたのだそうです。その時、二等車で使ったシルバーグレーの生地が、後年、シルバーシートにも使われました。ほかの座席と区別するために生地を探していた時に、ちょうど浜松工場にあったその生地を利用したそうです。ですから、ほかの色だったら「シルバーシート」という言葉も生まれなかったでしょうね。
阿川:面白いですね。私は、子どもの頃、毎年、夏休みになると父の実家のあった広島に行っていたのですが、新幹線ができてからは、新大阪駅で新幹線から在来線の特急に乗り換えて行きました。あの新大阪の乗り換えも印象に残っています。
須田:新幹線の運行に当たっては、乗り換えにもたいへん気を遣ったところです。
阿川:新大阪駅はたいへん良くできていて、すーっと乗り換えができました。
須田:細心の注意を払って設計した結果ですね。ダイヤ編成の面では、どのくらいで新幹線のホームから在来線まで行けるか、ストップウォッチで測定することから始めて、適切な接続の時間を割り出しました。接続時間があまりに長いと新幹線でスピードアップした意味がありませんし、短いと在来線に乗り遅れてしまうお客様がでますから。測定結果などを参考にして、だいたい10分から15分の乗り換え時間をみていたと思います。
阿川:私の歩く速度では、ちょっとゆとりがあるくらいでした。
須田:お客様から乗り換え時間を聞かれることが多々あったので、そのうち時刻表にも「平均標準乗り換え時間15分」という案内を載せた記憶があります。