2024年11月22日(金)

エネルギー問題を考える

2014年9月18日

 実際著書の中にも、そのような経済学者の主張が出てくる。「人々がたまたま慣れていたレベルの価格が、道徳的に不可侵などと言うことはない」といった主張である。しかし、著書によると、フロリダ州の司法当局には2000件以上の「この機に乗じたビジネス」に対する苦情が寄せられたそうである。フロリダ州には便乗値上げを禁止する州法があったため、中には裁判沙汰になり、罰金と賠償金の支払いを命じられたモーテルもあったとされている。

 長く電力供給の現場に身を置いた経験から考えると、どうしても電力という究極の生活財、生産財を市場原理のみに任せることが「正義」とは思えない。しかし「正義」ほど人によって考えるところが異なるものもない。だからこそ広く議論を喚起し、社会がどこまでの負担を受容しどこまでのメリットを求めるのか、着地点を探す必要があるのだろう。

 今後の電力システム改革による消費者メリットを最大化するために、冷静で現実的な議論が望まれる。「利権」「ボッタクリ」「言い訳」「暴挙」といった不必要に強い言葉を用い、勧善懲悪の単純化した議論にしてしまうことは、エネルギー政策に関する建設的な議論をかえって阻害してしまわないだろうか。生意気であることは重々承知ではあるが、現場で何が起きたかをお伝えしたい一念であるので、耳を傾けていただければ幸いである。

*関連記事:『河野太郎議員の電力批判、「スマートではないメーター」への疑問』

[特集]日本のエネルギー政策を考える

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