科学で斬るスポーツ

2014年9月29日

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突出する第2サーブ成功時のキープ率

 こうしたサーブの改善、相手を研究した上での高い予測・見極め、そして攻めの姿勢が結果として表れているのが第2サーブの成功時のキープ率だ。図9を見て欲しい。IBM社が出した全米オープン上位4人のデータだ。

 特徴的なのは、錦織の第1サーブ成功時のキープ率は4強の中で、最も低い73%だが、第2サーブが決まった時のキープ率は最も高いということだ。なんと81%もあり、他の3人が50%以下なのに、圧倒的な安定感、優位に立っている。大事なのは、第1サーブを思い切り打って失敗しても、第2サーブでゲームを作っていけるということだ。これは安心と自信につながるだろう。

 面白いのは、チリッチの第1サーブの成功率の低さと、第1サーブが決まった時のキープ率100%という数字だ。

 ここにチリッチに代表される、ビッグ・サーバーを打ち崩すヒントが隠されている。決勝で見せたチリッチはまさに、この第1サーブの好調さがゲームを支配した形だったが、錦織も第1サーブ成功時のキープ率も向上しており、今後のさらなる伸展に注目したい。

 安定した試合運びと表裏一体なのが、メンタル面での強さ。コーチのマイケル・チャンの加入で、技術的な向上はもちろん、精神面、体力面で大きく成長した。

 チャンが行ったのは、コート上での反復練習、ジムやプールでの基礎体力強化。175cmのチャンは、体の小さい選手が勝つには体力強化が必要だと、自らの経験を語り、「これでもか、これでもか」と178cmの錦織を鍛え上げた。そして「お前の方が強い」「勝てる」と常に暗示をかけるように試合に送り出してきた。

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