日本の漁業は崖っぷち

2014年10月1日

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イギリスの量販店に並ぶツナ缶。中身はカツオ

 世界的な魚食ブームでカツオの需要は高まっており、主にツナ缶として缶詰用に漁獲されています。漁獲量についても、図1下図のグラフを見てお分かりの通り、1970年の20万トンから2012年の160万トンへと右肩上がりにどんどん増えています。これは、魚が増えているというより、漁船の数が増え、かつ漁獲効率が大幅に高まってきたことにより、水揚げが増えているのです。パヤオという集魚器が威力を発揮し、加えて漁船が大型化し乱獲が進んでいます。韓国船・中国船他の漁船の数がさらに増えていくことも確実です。漁獲圧力はどんどん高まっています。厳格なTACがあるわけでもなく、資源にとって危険な状況が続いているのです。

 すでに年を追うごとに増え続ける漁獲が、最大持続生産量(MSY)水準を上回り始めていると指摘されています。この水揚げ増加パターンは、ノルウェーを始めとする漁業先進国の水揚げと水揚金額が増えているものと大きく異なります。漁獲量が頂点に達するある時期を境に、水揚げが右肩下がりに減少を始め、その後、急激に漁獲が落ち込むと考えられます。「魚はどこに消えた?」ではなく、自分たちで獲ってしまったためにいなくなってしまうのです。東南アジアの産卵場で一網打尽に漁獲されていくカツオ―。日本のカツオの一本釣り船の苦悩が続きます。

カツオの一本釣りで日本一の企業が
個別割当制度の導入を提唱

 高知の漁業会社・明神水産㈱の明神照男会長は、漁業先進国の資源管理方法である個別割当制度(ITQ)の導入を提唱されています。同社は、これまで漁獲競争に打ち勝ちながら事業を拡大してきました。日本で、例年もっとも多くのカツオを釣り上げる漁船を持つ同社にとって、今まで通り、獲ったもの勝ちで、日本の他の漁船と競争する方が短期的には良いでしょう。

 これまで同社は、魚が獲れなくなってくると、他の漁船に先駆けて漁船のエンジン出力を上げ、他の漁業者よりも魚をたくさん獲る戦略を取り、投資を続けてきました。競合する漁船は、同社に追い付く設備投資を行い、そしてさらに漁獲能力が高い漁船が建造されていくという競争を繰り返してきたのです。他の漁業者からすれば「一番カツオを釣る同社に、漁獲規制をして一体何の得があるのか?」と思うことでしょう。しかし、早獲り競争の限界と世界の状況がわかり、このままでは日本の漁業に将来がないことに気づき始めたのです。

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