で、私は、カトちゃんがいなくなると、スズムシの授業は途切れてしまうのでは? と、心配しました。
だって、優れた先生の優れた授業は、いなくなると「あれは、もうやってないよ」が、一般には多いからです。
ところがカトちゃんは、栄転直後に私にお手紙をくれました。
そこには、このように書かれています。
おせわになりました。新しい自分が発見できそうな感じがして、毎日ワクワクしています。
スズムシは、二年生がひきついでくれました。
私はホッとして、カトちゃんへの返信に書きました。
教頭先生へのご栄転、まことにおめでとうございます。
また、「スズムシは、二年生がひきついでくれました」とのことは、とてもうれしく思います。
加藤さんが築いた「学校の記憶」と、私たち地域が引きつぎ次へとつなぐ「地域の記憶」とを響かせ合い、いっそうの「響生のまち秋津」を創っていきたいと思います。
では、お元気で、アディオス! アミーゴ!
で、カトちゃんが始めたスズムシ授業は、代々の先生が引き継いで、17年経た現在も学校と地域が響き合いながら続いています。
学校と地域社会の住民が一体となって
カトちゃんの愛称の加藤稔先生(中央)とカトちゃんの退職祝い後に秋津コミュニティの看板前で。2006年6月23日
で、カトちゃんが、秋津から異動した2年後の2006年3月末に定年退職した際には、秋津の仲間が退職祝いをしちゃいました。
ふつうは退職時の学区の住民がお祝いをするようなんですが、カトちゃんには秋津のみんなが特別な思い入れがあることから、約50人も集って盛大にお祝いをやっちゃいました。
で、カトちゃんは、優れた先生なので再任用され、退職後8年経った今も、市内の小学校1年生の担任として元気にやってます。