子縁を介して紡いでいく
「優しくておまけつきの心」
で、カトちゃんが異動後の「地域の記憶」の一例を紹介します。
64歳のご婦人が『朝日新聞』の「声」欄に投書し、「鈴虫と一緒に頂いた優しさ」の題で2005年8月27日に載りました。少し長いですが、全文を紹介します。
近くの小学校から、鈴虫を育てている2年生が、今年も卵から育てた鈴虫を、希望者に届けてくださいました。「リーン、リーン」と鳴き始めています。鈴虫の世話は、毎日、ナスとキュウリを新しいのに換えます。
私は車いすの障害者で、まひのため手も震えるので、注意しないと鈴虫は逃げてしまいます。毎日の世話はなかなか大変ですが、楽しいです。
また、今年は届けてくださった男の子の優しさに触れ、心打たれました。
私は開頭手術の後遺症で顔が曲っています。顔の曲ったおばさんが車いすに乗って出てきて、男の子びっくりしたでしょう。けれど帰る時、心配そうな顔で、ひと言「おだいじに」と言って下さいました。
私は男の子の優しさに心打たれました。きっとこのお子さんは私に優しい心を下さったように、小さな虫の一匹一匹にも優しい心で接し、大切に育て大きくし、届けて下さったのではと思えてなりませんでした。
今年は何か、優しくておまけつきの心の入った鈴虫の鳴き声に聞こえます。おばさん、大切に、大切に育てますよ。ありがとう。
てなことで、「優しくておまけつきの心」を、子縁を介して「小さな虫の一匹一匹」が紡いでいます。
なので、この学社融合は、まちの活性化・助け合いの福祉のまち育てでもあるんです。
こういった、まち育てにもなっていったすばらしい授業のことは、「カトちゃんが始めたすてきな授業なんだよね」と語り継ぎ、先生がかわっても続けてもらうためなら秋津の住民は何でもいとわないで行っています。
「学校と地域がつながる第一歩」
で、ひょんなことからカトちゃんと一緒に、この9月19日に栃木県で講演をしちゃいました。
「ひょんなことから」とは、主催者の希望で「秋津の学校と地域の協働の初期の話を、当時の先生とともにお願いしたい」「参加者はこれから地域住民との協働に取り組む社会教育主事の資格をとったばかりの先生が対象なのです」とのことから、カトちゃんとのコラボとなったのです。