チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年11月18日

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小原凡司 (おはら・ぼんじ)

笹川平和財団 上席研究員

1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。IHS Jane’s、東京財団研究員などを経て現職。

 J-31は、中国国産空母の艦載機としての運用も取り沙汰される機体である。しかし、中国国内には、これを否定する意見もある。

 退役海軍少将の軍事評論家は、人民日報のインタビューで、「J-31が空母艦載機として使用される可能性は低い。J-31の『出生証』が問題で、我々の研究開発プロセスに則っていない」と述べている。開発の初期は、国家プロジェクトではなかったという意味だ。

 ではなぜ、国家プロジェクトでなければ空母艦載機に適さないのだろうか。先の評論家は、「J-20は開発前期に、開発の目的、作戦任務、投入予算、生産機数が論証されたが、J-31はこの開発前期の論証とプロセスを経ていない」と述べている。航空機デザインの過程で中国海軍あるいは空軍の要求を考慮していないのでは、作戦の用に供さないということだ。J-31が輸出用とされる所以でもある。

 珠海航空ショーが開幕した11月11日は中国空軍創設65周年の記念日であり、新華社は、「中国航空戦力の増強であり、戦闘機の国際市場における中国の輸出の重大な突破である」と報じている。

 珠海航空ショーは、中国にとって国を挙げてのイベントである。今回のJ-31の外国メディアへの公開は、中国指導部が行ったものであることが誰の目にも明らかな形で行われたのだ。

「米中2大国が対等に対話」、協調の演出

 11月11日は、北京においてAPEC首脳会議が開催された日でもある。J-31の公開は、中国が実力の面でも米国と対等であると内外に示そうとする中国の努力に一役買ったのだ。

 中国メディアは、日中首脳会談の報道とは対照的に、米国については、オバマ大統領の到着から大々的に報道した。APEC閉幕後の11日夜、習主席が「中南海」にオバマ大統領を招き、会談する様子も大きく報じている。

 米中協調の演出は、12日に実施された米中首脳会談で最高潮を迎える。記者会見でオバマ大統領は、「中国との協力をアジア重視戦略の『核心』だ」と表明した。

 一方の習主席は、米中「新型大国関係」の構築と、「新型軍事関係」を目指すことを強調した。米中が2つの大国として対等に対話する姿を示したのだ。

 米中首脳会談において、軍の偶発的衝突を防止して軍事面で相互信頼を構築し、アジアにおける安全保障において協力するとしたことは、アジアにおける安全保障環境の悪化を避けたい米国の利益にも合致するが、何よりも中国が実現したい地域情勢あるいは国際情勢に合致するものだ。

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