チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年11月18日

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小原凡司 (おはら・ぼんじ)

笹川平和財団 上席研究員

1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。IHS Jane’s、東京財団研究員などを経て現職。

米中関係は「対立的共存」

 今回の米中首脳会談後の記者会見でも、習主席は「広大な太平洋には両国を受け入れる十分な空間がある」という、2013年6月の米中首脳会談でも使用した言葉を繰り返した。

 この言葉は、2007年に中国海軍司令員が米太平洋軍司令官に提案した「太平洋分割論」とはニュアンスが異なる。現在の中国が求めているのは、米国との「共存」なのだ。

 中国が権益を追求すれば米国との対立は免れない。それでも、米中は軍事衝突を起こさず対話によって問題解決を目指す関係、それが「新型大国関係」である。こうした関係は、「対立的共存」関係とも言える。

 APECは、中国が、米国と並ぶ大国として地域の安全保障環境を議論して作り出していくのだということを内外に示す最高の機会を提供したことになる。

 中国は、自身が米国に並ぶ大国であることを、10時間にも及ぶ米中両首脳の会談の演出で示した。しかし、言葉だけでは不十分だと考えたのだろう。中国は、米国に並ぶ「実力」を有していることも同時に示そうとした。

 珠海航空ショーにおける最新軍用機のアピールの意味はそこにある。

 中国は、東シナ海における防空識別圏の監視能力が欠如しているという分析を払しょくするかのように、空中警戒管制機KJ-2000も公開した。巡航ミサイルCX-1も初公開された。珠海航空ショーは、政治的に中国の軍事力を誇示する場でもあるのだ。

 2014年1月、米国防総省のケンドール国防次官が、アジア太平洋地域において「米国軍の技術的優位性は保障されていない」と危機感を示した言葉に現実味を持たせ、中国が米国に並ぶ大国であることを示すことに腐心した中国は、米国との大国関係を示しながら、自国に有利な地域情勢構築を進める。

  
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