2013年4月、国は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を施行し、総理大臣による「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」や、それを受けての都道府県知事による市民の外出自粛要請などが定められた。
「しかし、市民が新型インフルエンザや国の対策についてどこまで知っているかというと、まだまだという状況です」
政府の「新型インフルエンザ対策室」が2014年10月に発表した「新型インフルエンザ等対策に関する調査結果について(速報)」では、新型インフルエンザの理解度を尋ねたところ、「理解していた」と答えたのは約55%。「緊急事態宣言」については、「理解していた」は約28%だった。
だが、これらはアンケートでそれぞれの知識を詳しく示した上で、理解度を尋ねたもの。知識を示されれば「そんなことは知っていたよ」となる。実際の理解度はさらに低いといえそうだ。
エボラの状況も、正しく理解する
感染症はインフルエンザだけではない。2014年に西アフリカで流行した「エボラ出血熱」では、12月19日時点で流行3カ国の感染者数は1万9032人。死者数は約7373人に上っている。
全身に出血が現れるなど症状が戦慄的で、しかも致命率(その病気で死亡した患者の割合)は平均50%程と高い。こうしたことから、「もし日本にエボラウイルスが入ってきたら」と怖れる人も多いだろう。
大石氏はここでも「正しく状況を理解すれば、無用に怖れる必要はありません」と説く。
「残念なことですが、流行した西アフリカの3カ国では、電気も水道も未整備の地域が多く、その中の貧困家庭などで流行が起きています。感染者に接触することを防げば感染しませんが、そうした知識も広がっていません。また、医療インフラも発達していません。日本では封じ込めなどの感染症対策が十分ありますので、流行した国々と同様の状況が起きることはないといってよいと思います」