2024年7月16日(火)

学びなおしのリスク論

2014年12月26日

インフルエンザになるかならないか、
重篤になるかならないか

 身近な感染症といえるインフルエンザについては、「季節性インフルエンザと新型インフルエンザを混同せず、分けて考える必要があります」と話す。

 まず、「季節性インフルエンザ」とは、毎年、冬に流行するインフルエンザのことだ。流行のピークは1、2月(グラフ左端、1〜9あたりの週)。国立感染症研究所と厚生労働省は、全国3000カ所の医療機関からなる「インフルエンザ定点」からの報告を受け、「定点当たり報告数」などの情報を発信している。

近年のインフルエンザ発生動向。左端が1月、右端が12月。2009年は新型インフルエンザ流行(後述)のためピークの傾向が大きく異なる。 (資料提供:国立感染症研究所。国立感染症「IDWR速報データ 2014年第50週」2014年12月1〜7日より)
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 この定点観測からの推計により、「毎シーズン、約1000万人が感染しているだろうということができます」。

 なお、厚生労働省は「人口動態統計」で死因別の死者数の統計をとっており、2012年から過去3年間のインフルエンザによる年間死者数は158〜569人。さらに間接的にインフルエンザの流行で生じた死亡者の推計を含めると日本では「約1万人と推計」(厚労省HP)という。

 年間感染者が1000万人といえば、毎シーズン12人に1人がインフルエンザにかかる計算になり、死者500人とすると、感染者のうち2万人に1人がインフルエンザで(直接的に)死亡することになる。

 では、インフルエンザになるかならないか、重篤になるかならないかの分かれ目はどこにあるのか。

 「それは単純には説明がつきません。周囲の人のくしゃみでインフルエンザウイルスを含んだ飛沫が飛んで、それを同じように吸い込んだとしても、人により抵抗力がちがいます。また、リンパ球の活性などに見られる細胞性免疫の機能も個人によってちがいます」


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