2024年6月18日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年12月26日

習主席VS共青団派の「最後の戦い」の行方

 それでは、習主席VS共青団派の戦いは今後どのような展開となるのか。それを占うためにはまず、そもそも共青団派とは一体どういうものであるかを、ここで一度概観しておく必要がある。

 共青団派というのは、共産党元総書記の胡錦濤氏がその在任中に、自らの出身母体である共産主義青年団から幹部を大量に抜擢して作り上げた派閥である。胡氏が退任した今でも、この派閥は党と政府の中で大きな勢力を擁している。

 政治局常務委員で現役の国務院総理(首相)の李克強氏は胡錦濤氏に次ぐ共青団派の大幹部で、胡氏引退後の派閥の大番頭の立場にある。彼と並んで政府の中枢にいるのは国家副主席の李源潮氏、この人もまた、共青団派の中心人物の一人である。

 そして現在の共産党政治局には、前述の汪洋氏(国務院副総理)、孫政才氏(重慶市党委員会書記)、胡春華氏(広東省党委員会書記)などの50代そこそこの共青団派若手幹部が控えている。そして2017年開催予定の次期党大会で今の政治局常務委員の大半が年齢制限によって一斉に退陣した後、彼ら共青団派の若手が一挙に政治局常務委員会入りを果たして最高指導部を掌握する構えである。

 その一方、前述の拙稿で指摘しているように、胡錦濤前主席は、共産党第18回党大会において共産党総書記の立場から退く直前の2012年10月から11月初旬にかけて、自らの腹心軍人の房峰輝氏を軍の最重要ポストの参謀総長に任命し、さらに范長龍と許其亮の両名を党の中央軍事委員会副主席に任命した。つまり胡氏は自らの退陣を前にして、軍の中枢部を自分の子をもって固めることによって軍を掌握したのである。その結果、習近平主席が政権を握った時には、軍は既に胡錦濤派の軍となっていたわけである。

 このようにして、胡錦濤氏の率いる共青団派は政治局に若手幹部を多数送り込むことに成功し、軍を押さえることもできた。このような状況下では、共青団派の次なる政権戦略は明々白々である。要するに、2017年秋に開催予定の次回党大会において、現在政治局常務委員の大半を占める江沢民派の幹部たちが確実に退陣するのを受け、共青団派は軍の支持をバックに現在の政治局にいる自派の若手幹部たちを一斉に政治局常務委員を昇進させ、党の中枢部を一気に掌握してしまう、ということである。その際、政治局常務委員となって政権の要となることを特に期待されている共青団派の次世代ホープの筆頭は、すなわち前述の汪洋氏である。

 もちろん、共青団派の描くこのような政権戦略は、現在の最高指導者の習近平主席にとっては悪夢以外の何ものでもない。次回党大会において共青団派がその思惑通りに物事を進めることを許してしまえば、党大会以後の政権はもはや習近平政権ではなくなり、完全に共青団派政権となってしまうからである。

 習主席としてはこの事態を何としても阻止しなければならない。したがって、腐敗摘発運動で江沢民派の力を削いだ後、次のターゲットは共青団派の幹部となる。まさにそのために、習主席は早くから疑惑の多い共青団派幹部の令計画氏に目をつけていたが、前述のように汪洋氏が公然と習主席に反旗を翻すような言動をとると、習主席側はさっそくその反撃として令計画に対する取り調べの公表に踏み切った、ということである。


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