2024年7月15日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年12月26日

 このように、製造業から物流業まで多岐にわたる業界で、経営者たちによる夜逃げ事件が多発していることが分かるが、経済環境全体の悪化以外に、「高利貸」とよばれる闇金融の氾濫も、大きな原因の一つである。

 金融不安が高まる中で、保身に走る国有銀行が民間中小企業への融資を渋った結果、多くの中小企業は生き延びるために闇金融に手を出すことになったが、借りた金の法外な高金利に耐えられなくなると、経営者たちの選んだ道は結局、元本を踏み倒しての夜逃げである。

 このような現象が広がると、窮地に立たされるのは高利貸しの民間金融業者である。貸金が踏み倒された結果、今度は彼ら民間金融業者の夜逃げも始まったのである。

 たとえば四川省の大都会の成都市では、民間金融業者の創基財富会長の段家兵氏の失踪が発覚したのは10月20日であるが、それに先立って、9月4日には聯成鑫という民間金融の経営者が姿を晦まし、同12日には、内江聚鑫融資理財公司の経営者が飛び降り自殺した。そして10月初旬、それこそ地元民間金融大手の四川財富聯合が破綻して、経営者の袁清和氏は夜逃げ先で拘束された。9月からの一連の「破綻・夜逃げ事件」で焦げつきとなった融資総額は百億元にも上ったという。

 かくして今の中国では、多業界にわたる夜逃げラッシュが各地で広がり、そのドミノ効果を以って民間金融の破綻を誘発するという悪循環が始まっていることが分かる。そして、民間金融から大量の資金を調達しているのは不動産開発業者だから、現在進行中の不動産バブル崩壊はまた、この悪循環に拍車をかけることとなろう。バブル崩壊後にやってくるのはすなわち金融の崩壊であるから、中国経済の末日が確実に近付いてきていると言える。

経済運営における「支障」

 しかしその一方、中国共産党政権の中枢部で起きている熾烈な権力闘争は今後、その展開によっては、経済の崩壊をより一層加速させる危険性も孕んでいる。

 現在、国務院総理(首相)の任に当たっているのは共青団派の大番頭の李克強氏であることは前述の通りだが、中国の場合、普段なら国務院総理は経済運営の司令塔となってその全責任を負う存在である。たとえば以前の胡錦濤政権の場合、やはり国務院総理の温家宝氏が最高責任者として経済運営全般を仕切っていた。しかし習近平政権になってから様相が変わった。国務院総理は共青団派の李克強氏が就任しているが、その一方、2014年6月から、習近平主席は「中央財経領導小組(領導チーム)」の組長となったことが確認された。


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