2024年7月22日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年12月26日

 「小組」とは、共産党中枢部において各領域別の仕事を指導するための非公式な意思決定機関、というものであるが、中央財経領導小組というのは当然、党内において国の経済政策を決定するための指導チームであり、経済運営の事実上の司令塔なのである。

 この中央財経領導小組はもちろん以前から存在しているものであるが、江沢民政権時代の1992年以来、国務院総理がその組長を務めるのが慣例となっていた。たとえば李克強総理の前任の温家宝前総理、そしてその前任の朱鎔基元総理は総理在任中にずっと中央財経領導小組の組長を兼任していた。

 習近平政権になってから、中央財経領導小組の組長に誰が就任していたかは不明であったが、2014年6月以降、党の総書記であり国家主席の習近平氏が総理の李克強氏に取って代わって就任したことが初めて知らされた。今まで20年以上も続いた慣例を破った異例の出来事である。

 習主席自ら中央財経領導小組の組長に就任したことは、共青団派の李克強氏に対する不信感の表れであろうが、肝心の経済運営にとって大きな支障となる可能性が大である。

 習氏は普段、政治・軍事・外交の全般を仕切る立場であるから、経済運営に多くの時間と心労をかけることはまず不可能だ。実際の経済運営に携わるのは結局総理の李克強氏となるが、経済運営に関する最終決定権を習主席に取り上げられた以上、李氏はきちんとした意思決定も出来なければ、経済運営に対する全責任を負う必要もない。このような二重権力構造は結果的に、意思決定の遅れと責任の不在をもたらすことになるであろう。

 習主席VS共青団派の権力闘争が熾烈化していく中で、習主席と李克強総理との関係は「犬猿の仲」というよりもむしろ「不倶戴天の敵」となるであろう。この2人の敵対と暗闘によって、より一層の経済状況の悪化を招くことになるに違いない。

 あるいは、経済運営の最高責任者となった習主席が経済破綻の責任を負わなければならないから、総理の李克強はむしろ経済の破綻を心の中では待ち望んでいるかもしれない。少なくとも、李克強氏には、何としても経済の破綻を回避しなければならないという強い動機が生じにくい。このような状況下で中国経済は確実に、地獄へと陥る道を歩むこととなろう。

 2014年に入ってからの一連の政治的行動によって、習主席は自らの墓穴を掘り始めた。彼の政権は一体どのような結末を迎えるのか、まさにこれからが見物である。

◆修正履歴
3ページ4段落目「孫政才氏(天津市党委員会書記)」は、正しくは「孫政才氏(重慶市党委員会書記)」でした。お詫びして訂正致します。該当箇所は修正済みです。(2015/01/05 11:30 編集部)

  
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