まずは「安全基準の規格のもととなる実証データを早期に積み重ね、世界標準を日本が先導することが必要。その上で国内市場を創出して、アジア、欧州など海外に打って出る」(NEDO〈新エネルギー・産業技術総合開発機構〉関係者)というのが国としての青写真。
国としても、先に掲げた「生活支援ロボット実用化プロジェクト」に加え、手術支援ロボットなど次世代医療機器の普及拡大に向けた「新生医療技術産業戦略コンソーシアム」を厚労省と経産省が協同で立ち上げるなど、ロボット産業の振興に手を打ち始めている。
子どもが指を挟まないようにするなど安全面に苦労した「wakamaru」
しかし、実用化、商業化で勝る海外勢の動きに比べ圧倒的にスピード感に欠ける。三菱重工業のサービスロボ「wakamaru」を開発した日浦亮太氏は、「海外主導で安全規格が今後つくられる」といった危険性を指摘する。たとえば、海外の技術者が特許を持つセンサーに準拠した規格がデファクトとなれば、日本勢は海外仕様での製造を余儀なくされ、主導権は海外に握られる。
世界優位のロボット技術を有する日本。ロボット産業を基幹産業に育成するためにも、政府・企業を巻き込んだ総合的な対策を早急に行わなければ、部品や要素技術では日本優位だが、市場占有で海外に劣る携帯電話や半導体と同様に、日本は「後進国」に陥ってしまいかねない。
関連記事:儲けられない日本のロボット産業
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。