2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月6日

 安倍総理は、日本の軍事力を再強化するナショナリストとして非難されているが、彼が言っているのは日本経済を平和的に再建し、日米同盟に資するより有益なパートナーとなるようにするということである。そして、中国と北朝鮮以外のアジア諸国は、日本の取り組みが西太平洋の平和と安全を維持することに資すると信じているのである、と述べています。

出典:James Auer,‘Is Japan Revising History, or Is South Korea Moving the Goalposts?’(Real Clear World, January 4, 2015)
http://www.realclearworld.com/articles/2015/01/04/is_japan_revising_history_or_is_south_korea_moving_the_goalposts_110883.html

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 これは大変良い論説です。日本の事情にも詳しいアワー氏ならではのものであり、アワー氏の勇気に敬意を表するべきでしょう。論説の内容は、全て的を射ています。

 韓国側がゴールポストを動かしているということは、金大中時代の共同声明起案の経緯を知る人すべてがそう認識しているでしょう。したがって、この論説は、日本としてコメントすべきものというより、韓国当局者こそ熟読玩味して反省すべき性質のものです。

 慰安婦問題については、これは、当時は合法的であった売春婦の話です。売春婦は奴隷ではありません。事実を歪曲して、ことさらに刺激的な「性奴隷」という言葉を使い、女性の人権擁護者ぶる人がいますが、そういうことは、安っぽい正義漢気取り、人気取りの言動と言わざるを得ません。彼らは、慰安婦の大多数は日本人であったことを知ってこういうことを言っているのか疑問です。

 戦場における性の問題は、現在も続いている、人権上の重大な課題です。そして、人権への意識は、ますます高まっているというのが、大きな潮流と言ってよいでしょう。確かに、過去の不幸な経験は真剣に直視しなければなりません。しかし、上述の「性奴隷」のレッテルがよい例ですが、過去を直視するということは、正確な事実に基づかなければ、直視したことにはなりません。さらに、過去に対する直視は、過去の出来事を現在の基準で裁くことを意味しません。こうしたことを踏まえながら、現在の人権についての規範や意識に即して、戦場における性の問題を今後どう解決していくか、国際的に英知を結集して考えていく必要があります。

 なお、歴史問題、慰安婦問題で日本側が態度を変えないなら日韓首脳会談はしないと朴大統領は条件を付けているようですが、そういう条件を呑んでまで首脳会談をしてもらう必要は全くありません。現在の日本政府は、そのように対応しており、今後ともこの方針を貫いていかなければなりません。

[特集]日韓関係の行方

  
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