再エネコストの抑制策に成功した英国
容量市場の入札に加え、英国では差額保証制度(CfD)の下での再エネの対象設備選定の入札も行われた。CfD制度では、原子力と最エネから発電された電気の買い取り価格が決められているものの、再エネでは対象となる設備が多いことから買い取り価格の入札により競争力のある設備からCfDの契約を与える制度だ。入札結果が2月下旬に発表され陸上風力、洋上風力、太陽光ともに、政府が想定した買い取り価格を大きく下回る結果となった。表に英国政府の価格、入札価格が示されている。
入札は、既に確立した技術と技術開発途上の2つのグループに分けて実施されたが、確立した技術のグループでは陸上風力設備が主となり、太陽光案件の採択が極めて少なかった。また開発途上の技術では洋上風力が主体となった。落札価格は、市場関係者の予想を下回ったとされており、また相対的に競争力がない太陽光案件数は今後の入札でも限定されるとみられている。英国は入札制度を利用し再エネのコスト抑制策に成功したと言える。
日本が考えるべき制度
16年に電力市場の完全自由化に踏み切れば、欧州諸国が直面している設備新設の減少問題に直面することになる。容量市場が有力な解決案だったが、英国の入札結果を見る限り、消費者の負担額を抑制し新規設備の導入を図ることは困難なことが分かってきた。制度設計を十分に考えないと発電設備に余力がない状況では停電の可能性も出てくる。自由化市場での設備更新、新規設備導入の問題点をよく認識し、自由化を進めるべきだ。
価格競争力のある再エネから導入を進める英国の方式は、固定価格買い取り制度(FIT)による電気料金上昇の弊害が見え始めた日本でも利用を考えるべきだ。政策の転換を図るのであれば、早く取り掛かったほうがよい。いつまでもFITに拘っていては、大きな額の電気料金上昇が続くことになる。
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