世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年3月24日

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 現在の原油価格下落をもたらしている石油の供給過剰の主たる要因が米国の生産増にあることは間違いありません。サウジの生産量はここ数年、日産1100万バレル程度で推移しているのに対し、米国の生産は、6年前の同678万バレルから同1000万バレルに急拡大しています。この供給過剰に加え、グローバルな景気減速による需要減退もあり、原油価格は昨年6月以来ほぼ60%も下がり、このことが論評にある地政学上の変化をもたらしました。従って、シェール革命がこの地政学上の変化をもたらしたのだという議論は勿論正しく、グリーンスパンはこれを歓迎しているようです。

 こうした中、サウジは興味深い動きを見せました。供給過剰と価格低落という事態を前にして同国および同調する湾岸の産油国は、減産しないことを決定しました。それに関して、イランやロシアをも睨んだ戦略ではなかったか、シェール石油を潰すことを策したものではないか、という説がありました。イランは、サウジが石油を政治的道具に使っていると非難しました。これに対し、昨年11月のOPEC総会で、サウジの石油相は「我々は価格を決めることはしない、市場が決めるのである」と言っています。これには「OPECは死んだかもしれないが、原油価格決定者としてのサウジは死んではいない」との考えが根底にはあると思いますが、サウジが、原油価格は市場が決めると明言したことの象徴的意義は小さくありません。

 グリーンスパンは、原油価格はOPECではなく市場が決めることになり、その市場は価格に応じて供給が柔軟に伸びもすれば縮みもするシェールオイルによって安定的に保たれる、と指摘しています。そういう方向性にあることは確かですが、シェールオイルが市場を安定させる、と断定するのは少し言い過ぎのように思います。

 なお、論説の最後の一文は、米国のシェールオイル生産が減少に転ずることを示唆していると見てよいでしょう。生産量自体はまだ減っていませんが、掘削リグの数は、昨年秋ごろから減り始めています。

  
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