2022年12月10日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月20日

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 オバマ政権は、世銀の強化の努力を倍増させ、TPPの議会承認を取り付けることに努めるべきである。TPPはアジア・太平洋地域の経済枠組みを、中国の重商主義ではなく、西側経済の上に作り上げるものである。

 AIIBが米政府が考えるように中国の地政学的攻勢であるとすれば、TPPはそれをかわす適切な方法である、と述べています。

出典:‘China’s new development bank bodes poorly for the U.S.’(Washington Post, March 22, 2015)
http://www.washingtonpost.com/opinions/chinas-new-development-bank-bodes-poorly-for-the-us/2015/03/22/6f19e4ec-cf31-11e4-8a46-b1dc9be5a8ff_story.html

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 エコノミーの論説もWPの社説も、米国はAIIBに参加もせず、他国の参加に反対もせず、成り行きを見守るべきであると言っています。実際、それ以外に選択肢はないでしょう。それは米国にとって賢明な選択と思います。日本も米国と同様に、成り行きを見守るべきです。

 AIIBは中国が世銀、アジア開銀に対抗して、中国主導でアジアのインフラ投資を促進しようとするものです。アジアにおけるインフラ投資の需要は巨大で、世銀、アジア開銀では対処しきれません。その需要に応えるという意味ではAIIBは存在意義があります。しかし、問題は中国の意図と、新銀行のガバナンスです。中国のこれまでの開発融資のようなやり方では、問題が生じます。英仏独などは、参加するからには適正な融資が行われるよう働きかけるべきです。

 同時に、米国はIMF、世銀を改革し、中国や途上国により発言権を与えるよう図るべきでしょう。WPは、もし議会が中国の投票権を増大させる形でのIMFへの増資についてのオバマ政権の要請を承認していたら、事態は異なっていたかもしれない、と言っているが、たとえIMF改革が行われていたとしても、中国はAIIB構想を発表していたと思います。中国の狙いはブレトン・ウッズ体制に挑戦することだからです。ただ、今からIMFを改革しても遅すぎる、ということはないと思います。IMFをよりバランスのとれたものにすることは、IMF批判に応えるもので、米国の立場をかえって強くすることになるでしょう。

 なお、最近、日本国内ではAIIBに関する「日米の孤立」を否定的に指摘する向きがありますが、中国の影響力強化の企てを前に、日米が足並みを乱さないことこそが肝要です。日本政府には、日米が結束してAIIBには慎重な態度をとるという方針を堅持することが望まれます。

  
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