洪は、党と国家を彼女が「正しい道」と呼ぶものに導いていくのか、それとも、非現実的な民族統一主義に殆ど我慢がならなくなっている台湾社会から、国民党をますます疎外させることになるのか。時が経つにつれ判明しよう。
出典:‘Could Hung turn KMT around?’(Taipei Times, June 17, 2015)
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2015/06/17/2003620873
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民進党の立場に近い「台北タイムズ」の社説ですが、ここに指摘された論点は、今日、台湾人の多数の意見を代表するものと見られ、納得できる点が多く含まれています。
国民党総統候補として、洪秀柱(立法院副議長、女性)という予想外の人物が急浮上してきましたが、今の情勢から見れば、洪がこのまま国民党総統候補に選ばれる可能性が極めて高いと言ってよいでしょう。そのことが台湾の政治に如何なる意味をもつかについて、社説は分析しています。
一般に台湾内部で次期国民党総統候補と目されてきた有力者たち(朱・党主席、王・立法院議長、呉・副総統ら)はいずれも、困難な選挙戦と敗戦の結果直面するであろう政治的リスクを考慮して、選挙への出馬を躊躇したり、辞退しました。
そのうち、王金平議長については、馬英九総統としては、これまでの同人との深い確執から、王を出馬させるぐらいなら洪を出馬させたいという思惑を持っているといいます。また、朱・党主席と洪の関係もギクシャクしていることは周知の事実です。このように、国民党内のリーダーシップや組織としての団結力は依然として低迷した状況にあります。
政策面においては、洪秀柱は一般に中国と台湾の「統一」論者と見られており、中台間で和平協議を行うことに賛成したことがあります。ただし、洪自身は自らの対中国政策については、これまで十分に対外的に説明してこなかったので、近く考えをまとめるつもりであると述べています。
洪秀柱が最終的に国民党の総統候補に選ばれた場合、今後の最大の課題は、「台湾人意識」が着実に高まりつつある今日の台湾で、如何にその民意を掴むことが出来るかでしょう。
台湾の次期総統選挙は「女性同士の対決」になりそうですが、民進党の総統候補の蔡英文は先般の訪米を成功裏に終え、世論調査によれば、現在では一歩も二歩も洪をリードしています。
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