外見だけでは決められない
カードに書かれたプロフィールをのぞき読みしたところによると、美女たちは、みな学歴も高く、よい家庭で育った様子で(相談所のプロフィールには、ご両親の学歴や勤務先まで書かれているのだ)、年齢も佐久間さんより7、8歳下から同じくらいまでと、客観的にはちょうどよい感じに見える。
「……でも、実際に会ってみると、ちやほやされて育ったような子たちばかりで。僕は、外見は派手でも中身はしっかりしていてほしいんですよね。食事をしたら、お金を払わなくてもいいけど財布くらいは出してほしい。『ごちそうされて当たり前』という態度を取られると、『ないな』って思うんです……。前は『いいな』と思ったら、すぐに『付き合いたい』となったけど、今は中身も見たいと思ってしまいます。結婚を意識し始めてから、慎重になったんです」
それでも相談所に入りさえすれば、なんとかなると思っていた。しかし、1年が経過した今も、何も進展していない。
そこで、彼はもう一つ、新しく相談所に入ることにした。中高時代の同窓生が開いている相談所から“スカウト”されたからである。
探す範囲が広がってゆく
おおぜいの異性の中から、ベストを探し出そうとする。
「目当てのもの」がなかったときには、さらに「ほかに探しに行く」。
佐久間さんのこうした行動は、特別なものではないのかもしれない。
なぜかというと、私が日常的に行っている婚活の取材でも、同じような話をよく聞くからだ。
結婚情報サービス(→注・参照)を利用する40歳の男性は、婚活歴が10年になるが、「ダメだったら、また次ですよ」とタイプの美女にしか申し込まない。彼に申し込んでくる女性は、「顔が好みでない」と断っている。
しかし、私たちはいつからこのように、おおぜいの異性を見ようとするようになってしまったのだろうか? そしてどうしてそのようなことができるようになったのか?
次回、迫ってみようと思う。
注:「結婚情報サービス」とは、結婚を目的とした出会いのための情報を提供するサービスのこと。基本的には仲介者を介せず、自分で探して連絡を取る。
⇒第1回後編(本日配信予定)に続く。
*プライバシー保護のため、個人に関する事実については一部内容を変更しています。
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