一方、国民全体を見ると景気刺激策の効果もなく平均可処分所得(上半期)の伸び率は都市住民で対前年同期比マイナス4.6ポイント低下、農村住民の現金純収入は11.7ポイントも下落。消費者物価指数も7カ月連続で下がるという惨憺たる結果だ。
だが、いまや中国は上位150社の国有企業の納税額が法人税全体の約半分を占める国であり、個人の申告納税も国有企業の高級取りたちが支える国だ。最初から個人消費などあてにはしていなかったのだろう。
「中国は当面、財政出動を続ける」
この夏中国の指導者たちが繰り返したこの言葉は、社会が上下に分裂することさえ容認する意味なのか。かつて貧しい者が逆転する唯一の道であった大学はその機能を失い、大学受験者数は年々大幅に減り続けている。このことが意味しているのは、中国の底辺に諦めと絶望が広がりつつあるということだ。
膨大で無気力な貧困層を抱え始めた中国。世界から称賛された4兆元の財政出動は、おそらくその大きなきっかけとなったはずだ。
※次回の更新は、9月24日(木)を予定しております。
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