WEDGE REPORT

2015年10月20日

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新兵器の実験場

 こうした中、先月末から空爆に踏み切ったロシアの狙いがますます鮮明になった。攻撃はISというよりも主に北西部イドリブ、ハマ、ホムス各県のアサド政権軍と敵対する「遠征軍」の拠点に集中しており、当面の作戦がアサド政権支援、テコ入れだったことは明らかだ。

 空爆開始から2週間以上経過した10月中旬時点で見ると、空爆は1日80~90回行われており、米主導の有志連合の最近の1カ月の平均に匹敵するほどの爆撃回数だ。ロシアはさらに10月7日、シリアから約1500キロ離れたカスピ海の艦船から巡航ミサイル26発を発射。ロシアの国営テレビはカスピ海から「ミサイルはペルシャ湾や地中海まで届く」と報道、米欧にその威力と性能を誇示した。

Su34(iStock)

 ロシアは今回、近代化した兵器を実戦で使用し、「その性能を試す“実験場”」(西側専門家)とすると同時に、欧米にその軍事力を見せつける舞台にしている。中でも北大西洋条約機構(NATO)が「フルバック」と呼ぶSU34攻撃戦闘機は実戦には初登場で、米欧の軍当局者や西側の軍事専門家が重大な関心を持って注視している。

 もう一つはっきりしているのは、ロシアが今回の作戦計画を数カ月前から入念に錬っていた可能性が大きいことだ。それもシリア政府、イランとも役割分担なども含め相当詳細な事前協議が行われていたようだ。ロシアは出撃基地のラタキアには将兵慰労のため、ロシア人のダンサーや歌手も同行していると伝えられており、長期戦覚悟の一端が示されている。

  
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