2022年9月26日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年11月24日

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サイバー攻撃継続の如何によっては対中制裁も

 社説が引用しているCrowdStrike社は、サイバー攻撃を検出し、撃退するサービスを提供しており、全世界の攻撃者に関する情報をデータベース化しているといいます。業界で確固たる地位を築いているようであり、共同設立者のAlperovitch氏の言は信用できると考えてよいでしょう。

 中国がサイバー攻撃を続けていることに関し、米国政府のコメントは未だありません。米国政府は、中国が実際に攻撃を続行しているかどうかについては、事の重要性にかんがみ、慎重に調査、吟味するでしょう。このようなサイバー攻撃を止めるには一定の時間がかかるとの説もあります。

 もし米国政府が攻撃の続行を疑う、あるいは行われたと判断することになれば、先般の米中首脳会談の評価がさらに低下することになります。ホワイトハウスは首脳会談後に発表したファクトシートで、サイバーセキュリティについての合意をかなり詳しく説明し、今後の両国の協力への期待をにじませていました。もっとも9月27日付ウォールストリート・ジャーナル紙社説は「もともと中国はサイバー攻撃をしていないと言い張っており、していないことに合意するのはおかしく、約束が守られる信憑性はない」と冷ややかでした(11月4日付本欄ご参照)。

 習近平が米企業を対象とするサイバー攻撃はしないと約束した、その舌の根の乾かないうちにサイバー攻撃が行われたとすれば、事情の如何にかかわらず、習近平の信頼性を損なうものです。

 今後米国政府が中国のサイバー攻撃継続を確信すれば、対中制裁の可能性が再び浮上してきます。そうすれば、南シナ海への米艦艇の派遣問題と相俟って、米中関係の緊張は高まるでしょう。

 ちなみに中国は首脳会談についての中国側の発表で、米中の「新しい形の大国関係」をうたい、中国国内へアピールしましたが、その直後に米中関係が緊張すれば、中国国内で、米中首脳会談が中国政府の言うように成功であったかどうかについての疑念が生じることになるでしょう。

  
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